だんだん暗い方向にいきそうなので……。話を元に戻しましょう。
ここで、図1を見てください。
上記1〜3は、設計者と3次元モデラーの大きな相違です。象徴的だと思います。設計者ならば、完全マスターしましょう。その上で、図1の矢印の部分について見ていきましょう。「設計の開始」とは、「企画、使用目的、設計思想に基づく材料選択から」と言い換えることもできます。
企画、使用目的、設計思想が決定したら、それに基づく最適な材料を選択するぜぃ。よく考えりゃ、料理とおんなシってもんだぜぃ。
設計を料理や大工に例えると、よく理解できますね。先月、僕の母校でも、そう、教えてきました。学生も十分に理解できたと評判でした。なんか、偉くなったような気分になりましたよ。
お・し・え・て・き・た、だとー!? ザけるな! 10年早ぇ〜んだ。どうせ、オレサマのせりふをパクってきたんだろがぁ。あ、そういえば最近、お笑い芸人でオレサマのせりふをパクッているヤツが出現したがよぉ、困ったもんだぜぃ!!
僕もスギちゃんも、別にパクっていませんよ〜。自分の言葉で学生を指導しました。学生たちも、もっとワイルドに生きてほしいもんだぜぇ(あれっ?)。
材料の最適な選択は、「甚さんの技術者は材料選択から勝負に出ろ!(5)家電になった!? EVから学ぶ材料選定」で復習しましょう。その記事で登場した図「EVを含む電子機器における板金材料の部品点数ランキング」は、重要な実務知識なので再び紹介します(図2)。
最適な材料選択とは、前述の1〜3を基本形にします。つまり……、「企画、使用目的、設計思想に基づき、図2のランキングから選択すること」です。「選択する」といっても、一体、どうするのでしょうか? 「甚さんの技術者は材料選択から勝負に出ろ!(5)家電になった!? EVから学ぶ材料選定」には、ランキング順に「材料特性表」が掲載されていますので、そこから選択します。
甚さん! うちの会社で先週、「設計審査」……という名ばかりの「技術説明会」があったんです。「その材料はどうやって選んだのですか?」と質問があったのですが、うちの課長は「前の機械と同じです」と回答していました。
そりゃ、末期症状だな? 多分、材料知識の欠落と材料選択の「目利き力」がないからだぜぃ。
図2同様に、今回の「目利き力」は重要な要件につき、「甚さんの技術者は材料選択から勝負に出ろ!(1)設計で使える! 甚さんの材料特性データ」で復習しましょう。下記はその中でも重要な「目利き力」です。これも、再掲載しておきます。
ここでまとめましょう。
プロの代表格である技術職人は、どのような種類の材料でも、限られた予算の中で、より良いものを選ぶ「目利き力」が必要である。
これが、プロの技術職人としての原点である。
そして……、目利きが難しい材料の代表格が切削用材料、板金材料、樹脂材料である。
しかも、商品は3つの材料で90%を占め、「失敗」が許されない。まさしく、「目利き力」が問われる。
その「目利き力」とは、
材料の命は、QCDである。
限られた条件の中で、最高の材料を選択するための「目利き力」が上記である。
板金材料の選択法は、次の図3のフローとなります。
ただし、技術には「100%」という事象はレアケースですので、前記フローに沿わない場合もあります。そこを審査するのが「g:設計審査」、それを収集したものが「h:企業ノウハウ集」です。
すっ、すごい……。甚さん! 超・納得! 来週、母校でまた講演するんですが、パクってもいいですか〜?
いんやぁ〜、困った、困った。正直に言うと、オレサマがまだ若手のとき、大先輩から教わったことよ。今じゃ、これを「師弟制度」とか「徒弟制度」とか呼ぶらしい。しかし、実は「師」がいないんだよなぁ。
うちの課長に聞かせたいですね……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.