オートデスクの発表した「Autodesk Simulation CFD 2012」は同社のInventorだけではなく、SolidWorksやPro/ENGINEERなど他社CADからも利用可能だ。
オートデスクは2011年8月1日、設計者向け流体解析ソフト「Autodesk Simulation CFD 2012」(以下、Simulation CFD 2012)を販売開始した。同製品は、2011年3月11日(米国時間)に買収完了したCAEベンダー Blue Ridge Numerics社の「CFdesign」の技術をベースとしたもの。ダイレクトモデリングツール「Autodesk Inventor Fusion」(オートデスクインベンター フュージョン)も同梱した。
Simulation CFD 2012は、3次元CADの中から扱える。マルチCAD対応であり、同社の「Autodesk Inventor」以外の3次元CADからも簡単に解析モデルが作成可能だ(旧「Launcher Option」)。形状を変更した場合などのパラメトリックスタディにも対応。CAD側からも解析条件を設定でき、一度設定した条件は全て他の形状モデルに流用できる。自動メッシュ機能も搭載している。
また同製品は解析設定作業のルール化、テンプレート化も可能。チーム設計や技術継承に活用でき、作業ミスの削減へも寄与するとのことだ。専用の3次元ビュア機能は無償で提供し、Webブラウザにも対応している。開発以外の部門を巻き込んだ検討に活用できるとしている。
同製品は設計者向けといっても、回転体やスライドする物体も扱え(オーバーレイのスライディングメッシュ対応)、高度な流体解析も可能だ。
Simulation CFD 2012製品群と旧名称は以下の通り(画像)となる。
本製品の価格は以下の通り(税込)。
同社で掲げる「設計者CAE+」という概念は、簡単に説明すれば、従来設計者にとっては難しいとされた領域まで踏み込んで取り組もうというもの。そのために、簡単なGUIで操作でき、かつ高度な技術のナレッジ共有が効率よく行えるツールなどを提供することで支援していく。Simulation CFDも同様である。Blue Ridge Numerics社が掲げてきた「Up front CAE」という概念は、問題早期解決のため設計初期段階におけるCAE活用を促すというもので、いわゆる設計者CAEの概念であり、オートデスクが打ち出してきた設計者CAE+およびフロントローディングの考えとまさに合致しているという。
本製品は建築向け3次元設計ツール「Autodesk Revit Architecture」も対応し、製造業の設計だけではなく建築設計や設備設計でのCFD利用(室内空調の評価など)も広めていきたいとしている。
同社の提供するWebサイト「The SIM Squad」は、同社のCAEエンジニア(SIM Squad)によるCAE技術情報(ホワイトペーパーもあり)提供や活用事例開示、ユーザー交流サービスを展開している。日本ユーザーに同社の考える設計者CAEおよび設計者CAE+を伝えていくために、日本語化にも力を入れて取り組んでいるとのことだ。サイトは、オートデスクユーザー以外も一切無料で利用できる。
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