品質管理は、各部門が組織的に総合力を発揮していく活動にすることによって、効果を上げていくことができます。従って、品質管理の実施に当たっては、それに適した組織を確立して、運営していかなければなりません。また、その組織には適切な人材を配置することがまず大切なことです。それには、現状を考慮しつつ、トップが方針をシッカリと出し、チエを働かせて実施していくことが重要です。
品質管理の実施は、工場の実情によって異なりますので、自社の状況に適した組織を持たなければなりません。また、品質管理を円滑に推進するために、少なくとも次のことを留意して運営していかなければなりません。図1に一般的な品質管理組織の例を示しておきます。
図1の組織は次のルールで運用されます。
どんなに立派な組織づくりがなされていても、また、どんなに志の高い品質管理方針が決められていても、状況に応じて素早く、しかも組織的に行動できる機動性の高い組織でなければ、それらは機能しないといっても過言ではありません。優れた品質管理体制の手本として消防署の行動体制に、兼ねてから着目していましたので、参考として紹介します。
私たちの街の消防署の防火活動や消火活動は、企業の品質管理活動と実によく似ています。“火災の発生”と“不良の発生”への対応の仕方に差はないのではないでしょうか。
例えば……
“火災”を“不良”に読み替えると、企業の品質管理活動におおむね類似しているのではないでしょうか。防火活動と消火活動が効果的にうまく組み合わされ、システム化されていることに感心せざるを得ません。
これらのことから、消防署の防火・消火活動の体制を企業内の品質管理活動に当てはめてみると、これらの5項目のうち、どれ1つ欠けても完璧な不良発生防止は図れないということ、また、それぞれの行動(項目)が何らかのつながりを持ち、効果的に迅速に機動する“仕組み”になっていなければならないということがいえます。もし、品質管理活動に不備があるとすると、
などが反省事項あるいは改善事項であることが考えられます。
しかし、企業の品質管理活動は、このような体制になっていない場合が少なくありません。その差はどこにあるのでしょうか?
火災は、財産の消失はおろか、ときには人の命を奪ってしまうほどの大惨事を招いてしまいます。不良の発生もときには大惨事となることもあります。しかし、企業内では「品質優先」といいつつも、実際には不良の発生防止や発生した不良の再発防止対策などよりも他のことを優先している場合が多くあります。また、工程内不良が漏れてしまい社外不良として発生してしまうことの認識は誰しも持っていますが、実際には、社外不良と工程内不良に対しての対応が異なっているように感じています。そのような甘さが、消防署の活動と企業内の品質管理活動に大きな差が生じているのではないでしょうか。
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