ダッソーの提供する無償の2次元CADは、設計実務で使うCADとしての編集機能を一通り備えている。2次元CADの管理コストも大幅に抑えられる。
ダッソー・システムズ(以下、ダッソー)は2011年5月10日、同社の無償2次元CAD「DraftSight」の正式版(Windows対応、日本語版)および有償サポートパッケージを発表した。同社は2010年6月からDraftSightのβ版を公開していたが、このたび正式版に昇格。β版ユーザーからのフィードバックに基づき機能拡張したという。
DraftSightは新旧さまざまなバージョンのDWGとDXFに対応し、2次元図の編集や保存が可能で、PDFも作成できる。β版から提供しているダッソーのオンラインコミュニティーとの密な連動も大きな特徴だ(コミュニティーに参加しなくてもCADは利用可能)。オンラインコミュニティーでは、質問・討論(「iQuestion」)コーナーを備え、トレーニングビデオやチュートリアルなども提供する(記事公開時点では英語のみ)。
対応ファイルは、新旧のDWGおよびDXFのバージョンをほぼ網羅している(DWGについてはR12から。詳細は以下画像に)。
無償といっても、例えば「ファイルが保存不可」「一部の編集機能が使えない」といった試用版のような機能制限はなく、設計実務で使う2次元CADとしての編集機能(移動、オフセット、ミラー、寸法記入など)を一通り備えている(以下画像)。
使い勝手については、アイコンをクリックして、コマンドウィンドウの指示を見ながら入力していく基本動作(コマンド入力も可能)や、プロパティウィンドウ、画層(レイヤー)やブロック定義の設定など、AutoCADさながらだ。
DraftSightならではの機能としては、右クリックでドラックすると出現するマウスジェスチャーや、CADビュア「eDrawings」との連携機能などがある。
今後も、前述のコミュニティー経由のユーザー要望を積極的に受け入れ、機能へ反映していく方針とのこと。
DraftSightを入手するには、まず同社のダウンロードサイト(記事末の関連リンク参照)にアクセスする。エンドユーザー・ライセンス契約に同意した上、約60Mバイトのインストーラ(exeファイル)をダウンロードする。
上記をインストール後に、ドキュメントを最初に保存または印刷するときに、アクティベーションの指示が表示される。そこで有効なメールアドレスを登録する必要がある。以降は、6カ月後、さらに12カ月後(それ以降は毎年)のアクティベーションが必要とのことだ。アクティベーションはひとまず拒否をしても使用可能だが、認証せずに利用し続けると30日間でライセンス期限が終了し利用不可となる。
オンラインコミュニティーに参加するためには、アクティベーションとは別途でユーザーアカウントを作成する必要がある。
*Mac、Linuxはβ版のみ
DraftSightは有償サポートパッケージ「DraftSight Premium Pack」も備える。日本での提供は2011年5月中を目指す。価格については代理店に問い合わせてほしいとのことだ。
有償サポートパッケージでは、電話や電子メールによるサポートのほか、ネットワークライセンス、DraftSight API(C++などの言語でアドオンプログラムを作成可能)へのアクセスを提供する。教育用では、カリキュラム教材も用意している。
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同社は、無償の2次元CADを運用することで、CADの管理にまつわるIT投資コストを大幅削減できるとしている。「(2次元CADユーザーについて)IT投資コストを削減できた分でダッソーグループの3次元製品にも投資してくれることを期待している。また多くの人に当社の3次元製品に興味を持っていただくきっかけを作りたい。設計プロセスを3次元化することで生産性をアップさせ、ひいてはユーザーの市場競争力を高めてもらうという当社の従来方針は変わらない」(同社)。
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