間もなく開催、ESEC2011! 新設のAndroid開発ゾーンに注目【ESEC2011】コーナーOPEN企画

2011年5月11から13日の3日間、東京ビッグサイトで開催される「組込みシステム開発技術展(ESEC)」。14回目を迎える今回は「パワーエレクトロ二クス」「Android開発」「ワイヤレス給電」「デジタルサイネージ・デバイス」の4つのゾーンが新設される。本稿では、その中からAndroid開発ゾーンについて紹介する。

» 2011年04月12日 14時28分 公開
[八木沢篤,@IT MONOist]

――本稿は、@IT MONOist/EE Times Japanの共同企画「ESEC2011」コーナーのオープニング記念記事の第1弾としてお届けする。

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4つの新設ゾーンを加え、さらに規模を拡大するESEC2011

 間もなく、毎年春の恒例イベント「組込みシステム開発技術展(ESEC)」が“通常どおり”開催される。今回のESEC2011の会期は、2011年5月11から13日の3日間だ(場所:東京ビッグサイト)。

 先の東日本大震災による甚大な被害、そして大規模な計画停電の実施など、日本中で自粛ムードが漂う中、果たして今年のESECは開催されるのだろうか? そんな心配をしていた読者も多いのではないだろうか。主催者によると、被災した岩手県、宮城県、福島県、茨城県に拠点を置く企業から出展・開催に前向きな声が寄せられているとのことで、開催を決定したという(補足)。

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※補足:本稿では割愛するが、主催者側はESEC公式Webサイト内で、本イベントを通じて行う被災地への復興支援策および、開催期間中の省電力化策などの実施についてコメント(2011年3月29日)している。


 組み込みシステム開発に必要なハードウェア、ソフトウェア、コンポーネントから開発環境までが一堂に会するESECは、今年で“14回目”を迎える。毎年、旬なテーマを取り上げるなど、その規模を拡大してきたが、今回は新たに「パワーエレクトロ二クスゾーン」「Android開発ゾーン」「ワイヤレス給電ゾーン」「デジタルサイネージ・デバイスゾーン」の4つのゾーンを加え、全13のEXPOおよびゾーンで展開する。

  • 組込みボード・コンピュータ EXPO
  • 【新設】パワーエレクトロ二クスゾーン
  • 【新設】Android開発ゾーン
  • 【新設】ワイヤレス給電ゾーン
  • 【新設】デジタルサイネージ・デバイスゾーン
  • 音声認識・音声合成ゾーン
  • テスト・検証ゾーン
  • 組込み映像・画像処理ゾーン
  • モーションコントロールゾーン
  • 無線通信ゾーン
  • タッチパネル・ディスプレイゾーン
  • 設計・開発サービス/コンサルティングゾーン
  • 組込み技術者 教育サービスゾーン

満を持して新設された!? Android開発ゾーン

 4つの新設ゾーンの中で特に筆者が注目したいのは、毎年、ESECでもその存在感が増しているAndroidをテーマにした「Android開発ゾーン」だ。過去の展示会レポート記事でもお伝えしてきたとおり、ここ数年のESECや組込み総合技術展(Embedded Technology)では、最もホットなキーワードとして来場者の注目を集め、展示会を盛り上げてきた。

 以下で、その模様を振り返りつつ、ESEC2011で筆者が期待したいポイントを紹介したい。

 Androidの組み込みシステム適用を推進する一般社団法人「Open Embedded Software Foundation(OESF)」は、2009年に設立されて以降、メンバー企業とともにさまざまなワーキンググループを発足。年々規模を拡大しながら、その成果を上げ始めている。中でも、各種組み込みシステム向けに拡張を行ったAndroidのディストリビューション「Embedded Master」の取り組みとその最新動向は気になるところだ。直近では、Android 2.2をベースとした最新の「Embedded Master 3(EM3)」の一般公開が開始(2011年4月1日から)されており、ESEC2011に出展するメンバー企業によるEM3を用いた最新の展示・デモに期待したい。

OESF Embedded MasterやLight Weight Androidを搭載した機器 参考1 OESF Embedded MasterやLight Weight Androidを搭載した機器(ET2010 OESFのブースに出展したアットマークテクノの展示)

 また、実際にAndroidを組み込み機器に適用する場合、システムの起動時間やリアルタイム性といった、性能およびシステムの信頼性についても気になるところだ。過去の展示会では、AndroidのカーネルをLinux以外のOSに置き換えることが可能なイーソルの「eSOL for Android」、仮想化技術を用いリアルタイムOSとのマルチOS環境を実現するウェルインテクノロジーの「Embedded-VRT」やイーフローの「Hyperdroid」など、Androidにリアルタイム性能を付加するような技術/ソリューションに注目が集まった。ほかにも、Androidに対応した高速起動ソリューションとして、ユビキタスの「Ubiquitous QuickBoot」やリネオ ソリューションズの「Warp!!」といったシステム高速起動技術など、“Androidの本格実用”に向けた取り組みが話題を呼んでいた。恐らく、今回のESEC2011ではその動きがさらに加速し、より目に見える形で、Androidの可能性を体験することができるのではないだろうか。

ROMに格納されたeT-Kernelと、SDカードに格納されたAndroidアプリケーションを連携させるデモ 参考2 ROMに格納されたeT-Kernelと、SDカードに格納されたAndroidアプリケーションを連携させるデモ(ET2010 イーソルの展示)

 出展企業の詳細は、公式Webサイトで確認していただきたいが、「Android開発サービス(ソフトウェア開発、ハードウェア開発、デバイス開発、ポーティング、診断サービス、テスト検証など)」「Android対応ソフトウェア(ミドルウェア、デバイスドライバ、フォント、エンジン、Widget、GUIなど)」「Android対応ハードウェア(ボード、マイクロプロセッサ、モジュールなど)」「Android開発支援ツール(デバッカ、エミュレータ、CASEツール、オーサリングツール、Android組み込みプラットフォームなど)」「Android向けセキュリティソリューション(認証・暗号化、ネットワークセキュリティ、DRM、端末管理、データ消去復旧など)」「Android開発関連の教育サービス」などを手掛ける多数の企業が、Android開発ゾーンに集結する。

 また、ESEC2011の目玉の1つである専門セミナー【有料】でも「Android開発 最前線(ES-14)」(5月11日 9:30〜12:20)というテーマで、Androidにおける描画機能とデバイスドライバ開発やAndroidのユーザーインタフェース構築手法に関する講演が行われる。詳しくは、公式Webサイトの専門セミナー情報をご覧いただきたいが、実践で生かせる技術情報・ノウハウを聞けるチャンスになるのではないだろうか。

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