ESECレポート第2弾! 今回はデジタルサイネージ、監視システム、品質検証ツール/サービスにフォーカスし、展示・デモの模様を紹介する
「第13回 組込みシステム開発技術展(ESEC 2010)」のレポート第2弾。
本稿では、460社が参加したESEC 2010の中で要注目の製品・技術から、「デジタルサイネージ」「監視システム」「品質検証ツール/サービス」にフォーカスし、その模様をレポートする。
ハードウェアからソフトウェア、開発ツールまで幅広い分野の組み込み関連製品が総勢460社から展示され、ESEC2010は熱気にあふれていた。
その中でも特に勢いを感じさせたのは、17社のパートナ企業とともにブースを構えていたインテルである。「Atomプロセッサ」「Core iシリーズ」の組み込みアプリケーションとして「デジタルサイネージ」を前面訴求し、デジタルサイネージ付き自動販売機のコンセプト機を展示の目玉としていた。
コンセプト機の開発には、コンビニエンスストアなどにデジタルサイネージ製品「adbo」を提供するブイシンクが参加。プロセッサにインテルの「Core i5」を、OSにマイクロソフトが先日発表したばかりの「Windows Embedded Standard 7」を搭載した組み込みCPUボードを実際の自動販売機に内蔵し、筐体前面に46インチの液晶タッチパネルを配した“常識を打ち破る”デバイスだ。
顔認識機能を持ち、前に立つ利用者の性別・年齢層をカメラ画像から識別し、その人の属性に合う商品、広告を表示する。さらに、WiMAX通信モジュールを内蔵し、インターネット経由で利用者属性、商品在庫の情報を吸い上げたり、逆にコンテンツを配信することも可能だという。
「日本は500万台以上の自動販売機が稼働する世界でも希有な国であり、無線ネットワーク機能、電子マネー対応など自動販売機のIT化も始まっている。この既存リソース、流れをうまく利用できれば、デジタルサイネージは急ピッチで広まる」とインテルは意気込む。
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インテルブースでは、パートナ各社もデジタルサイネージ関連の提案を行っていた。例えば、岡谷エレクトロニクスは、インテル製組み込み機器向けチップセットに対応するアクセルのグラフィックスLSI「AG10」を展示していた。AG10は64MbytesのVRAMを内蔵し、4チャネルのLVDS出力と1チャネルのアナログ/デジタル兼用のRGB出力を備え、最大で4画面同時出力のマルチディスプレイを実現する。これはデジタルサイネージ分野で有用だろう。
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マイクロソフトもインテルブースにおいてWindows Embeddedを採用する東芝テック、NECのデジタルサイネージ製品を参考出展し、“プラットフォーム”としての実績をアピールしていた。
東芝テック製品は、非接触ICカード「FeliCa」に対応し、クーポン券などを印刷する機能を持つ。一方、NEC製品「PanelDirector」は、自動販売機のコンセプト機と同様に顔認識機能から利用者の性別・年齢層、見る距離や時間によりコンテンツに対する興味度合いなど“視認効果”を測定する機能を有する。こうしたデジタルサイネージ向けのリッチなアプリケーションは、Windows Embeddedならではだろう。
マイクロソフトは2010年6月から提供を開始するWindows Embedded Standard 7についてもビデオで紹介し、「マルチタッチやセンサ・GPS連携、メディアセンターなどの機能を組み込み機器へ簡単に取り込める」と強調していた。Windows Embeddedの中で同OSは汎用向けの位置付けだが、デジタルサイネージは重要ターゲットの1つ。実際、自動販売機のコンセプト機も同OSによりマルチタッチ対応を実現している。
また、インテルブースではユニダックスがWindows 7と同一バイナリを組み込み機器用途で利用できる「Windows 7 for Embedded for Systems」をリコー製の組み込みCPUボードに搭載し、タッチパネル・システムズ製ディスプレイを使い、2本の指を使って自由自在に拡大縮小したり、スクロールしたりできる地図アプリケーションのデモ展示を行っていた。今後はデジタルサイネージに限らず、組み込み機器全般でマルチタッチ対応が増えてきそうな印象を受けた。
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