ソリッドワークス・ジャパンは2010年9月28日、同社のミッドレンジ3次元CADの新製品「SolidWorks 2011」に関する記者説明会を開催した。今回も昨年の発表会同様に2時間にわたる説明が行われ、盛りだくさんな機能を紹介した。同製品は、2010年10月13日に販売開始する。
新たに追加したデフィーチャ(Defeature)は、同社 マーケティング部 プロダクトマーケティングの吉田 聡氏いわく、見せたくない形状をあいまいにする機能。細部にわたり作り込まれた形状の一部を埋めてしまう、あるいは削除してしまうといった作業が、アセンブリの合致条件を残したまま簡易に行える。この機能は、特に外部の協力会社などにデータを渡す際に活躍する。この機能、ユーザーからの強い要望から実現したとのこと。
従来のバージョンで同様な作業をしようとすれば、地道に削除や埋めの作業をするしかなく、そのうえデータの内部には不自然な空洞ができてしまうこともあるなど、非常にやっかいだった。
新製品では、基になる3次元モデル内で、あいまいにしたい細部フィーチャを選択し機能を実行すると、その部分を自動的かつすき間なく埋めてくれる。デフィーチャした3次元モデルは、基のモデル同様、通常のSolidWorksのモデルファイル(.sldprtおよび.sldasm)で保存可能。基になった3次元モデルには、フィーチャツリー内にデフィーチャした履歴が残り、いつでもその条件を修正可能だ。
モバイル機器用3次元データ閲覧アプリケーション「3DVIA Mobile」シリーズ(ダッソー・システムズ)は、SolidWorks 2011にも対応する。このアプリケーション(3DVIA)が参照するWebサービス「3DVIA.com」のデータアップロードのサイズ制限により、細部まで作り込まれた設計用アセンブリモデルはアップロードするには厳しいことがある。そこで、上記のデフィーチャの機能を使い、アップロードできるほどのデータ量に抑えるのも手だという。例えば、営業担当がまだ実物がない製品を顧客に紹介、あるいはユーザーに製品開発の意見をもらう際などは、デフィーチャしたデータの方が都合がいいこともある。
ちなみに、iPod touchおよびiPhoneは「3DVIA Mobile」、iPadは「3DVIA Mobile HD」に対応する。いずれも、iTunes Storeで購入可能だ。
従来機能の「コンフィグレーション パブリッシャ」には、「テスト」というボタンを新たに追加した。ボタンをクリックすると、設計テーブルで設定された形状(複数の形状バリエーション)を自動的に1つ1つロードし、再構築エラーなど発生しないかチェックしてくれる。
2次元図面作成についても、いくつか新機能を追加。「寸法パレット」の自動整列機能は、並べて表記する寸法線を等間隔できれいに、かつ自動的に配置できる。適当に配置してばらばらとしている寸法も、一括選択し、この機能を実行すると、ユーザーの設定した寸法線の間隔や文字の位置にぴしっと自動配列される。また、3次元モデルのカラーと一致した線で2次元図面上の部品を自動で色分けしてくれる機能も追加した。
「SolidWorks Simulation 2011」の新機能である2次元簡略化解析は、対称形状(回転体など)や平面形状について2次元の断面のみ参照し解析する。3次元による通常の解析だと数時間はかかってしまう大変形の解析や熱解析を数十分程度で完了させることも可能だという。同社の評価によれば、3次元の解析と結果を比較しても、その差分は5%以内とのことだ。またメッシュ作成は、マルチコア環境に対応した。
新しい「SolidWorks Flow Simulation 2011」(流体解析)のモジュールとして、電子部品の熱解析用「エレクトロニクス モジュール」、空調評価で有効な「HVAC(エイチバック)モジュール」を追加した。エレクトロニクスモジュールでは、ジュール熱の検証や多層基板の設定が可能だ。ヒートパイプのライブラリも強化し、熱評価の精度がよりアップしたとのこと。
ほか、SolidWorks 2011の主な新機能として、以下を紹介した。
なお、同社が都内で2010年10月13日に開催するプライベートイベント「SolidWorks World Japan 2010」のセッションでも、SolidWorks 2011について紹介するとのことだ。
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