住友ベークライトは、Li電池の容量を高められる新たな負極材料を展示した。この負極材料は、同社が開発した樹脂材料を加熱しながら粉砕することで得られるハードカーボン系のものである。その構造は、小さなグラフェン(炭素原子がシート状に結合した物質)が面方向に数層重なったクラスタと、クラスタの間に存在する空間(キャビティ)から成る(写真10)。このキャビティの存在により、現行のLi電池の負極材料として用いられている黒鉛よりも電池の容量を高められるという。
東レは、Li電池の次世代負極材料に対応する、ポリイミド系とポリアミドイミド系のバインダ樹脂を展示した(写真11)。スズ合金やシリコン合金などを利用した次世代負極材料については、現行の黒鉛と比べてLiを負極内に多く貯蔵できるものの、その貯蔵の際に、負極の体積が2〜4倍に膨張してしまうという課題が指摘されている。同社が開発したバインダ樹脂は、この体積の膨張/収縮に耐える安定性を備えているという。
日鉱金属は、ニッケル、マンガン、コバルトを用いる3元系の正極材料を展示した(写真12)。鉄や鉛などの不純物量が10ppm(1ppmは1万分の1%)以下と少ないため、電池内における短絡などが起こりにくく、安全性が高いことを特徴としている。
最後に、開発ツール関連では、ベクター・ジャパンが、同社の測定/適合ツール「CANape」の新オプション「Simulink XCPサーバー」を展示した(写真13)。同オプションにより、CANapeを使って行われる測定/適合プロセスを、米The MathWorks社のモデルベース開発環境「MATLAB/Simulink」のモデルを使って行われるシミュレーションにも適用できるようになる。
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