ダッソー・システムズ(以下、ダッソー)は2009年11月30日、同社の3次元モデルビュア・システム「3DVIA」シリーズの新機能に関する記者説明会を行った。
「3DVIA composer」は、3次元CADで作ったモデルデータをCADがない環境でも閲覧可能にするほか、取扱説明書や組み立て手順書、サービスマニュアルなど、設計・製造にまつわるさまざまな書類の挿絵(テクニカルイラスト)や動画を3次元モデルから簡単に作成する機能を備えている。オプションとなるが、設計側の3次元モデルの変更履歴と書類の図版との同期を取る機能(「3DVIA Sync」)もある。
3DVIA composerはデータセキュリティ機能(アクセス制限設定)が従来、有償オプションだったが、ユーザーからのニーズが非常に高かったことから、最新版のV6R2010からは基本モジュールに実装した。
データ作成には3DVIA composerのライセンスが必要だが、閲覧するだけなら無料のアプリケーションで可能。ライセンス価格については非公表だが、中小企業でも検討可能な価格帯とのことだ。
他社の同様な製品との大きな違いとしては、さまざまな種類の3次元CADのモデルデータをネイティブファイルで扱えるばかりでなく、該当するCADのライセンスがなくても3次元モデルが閲覧可能な点を挙げた。
また仏ダッソーのバイス・プレジデント 3DVIA グローバルセールス ギヨーム・オトラージュ(Guillaume Otrage)氏は、2009年10月1日にフランスで発表した「3DVIA Mobile」を紹介。同サービスはiPot touch(第2、第3世代)およびiPhone(3G、3GS)用で、ダッソーによる3次元モデルコミュニティサービス「3DVIA.com」で提供している。このサービスでは、3DVIA.comにストックされた3次元モデルを呼び出し、iPhoneなどで撮影した写真を合成することが可能だ。オトラージュ氏は、iPhoneで説明会会場を撮影してから、3DVIA.com内のスタンドライトの3次元モデルを引っ張ってきて配置するデモを行った。
現在は英語版のみだが、日本ユーザーもiTunes/App Storeからダウンロードすることが可能だ。価格は1.99USドル(記事公開時点:App Store価格は230円)。
ハイエンド3次元CAD/PLM「CATIA」の開発元ということで設計・製造関連の製品を強みとしてきたダッソーだが、3DVIAのような設計以外の部署の人でも簡単に扱える3次元モデルのシステムの大きな需要の可能性についても強調した。設計関連のユーザー数を1だとすると、生産技術では2〜10倍、営業やマーケティング、教育などでは100倍のユーザーを秘め、消費者やサプライヤとなれば無限大だと説明。まだなお3次元モデルが行き渡らない業務・分野に3DVIAを取り入れることで、3次元モデルのメリットをより大きく享受できるだろうとのことだ。
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