「世界のバリューチェーンから日本がはじかれる!? S&OPに対応すべきこれだけの理由」では、S&OPの5ステップモデルについて取り上げましたが、ここでは少し掘り下げて見ていくことにしましょう。
S&OPプロセスは、ほかのマネジメント・コンセプトと同様に、20年前の提唱から企業環境の変化とともに進化し、統合化へと向かっており、S&OPがカバーするビジネスプロセスやアクティビティも拡大してきています。
つまり、S&OP(セールス・アンド・オペレーションズ・プランニング)の(1)セールス(需要)の側面では、その対象範囲をマーケティングと販売から、新製品の開発と発表、そしてリソースに影響を与える「新規のアクティビティ」にまで広げ、(2)オペレーションズ(供給)の側面では、単一工場内から、アウトソース先を含む複数の生産拠点、そして業者を含むサプライチェーンへと対象範囲を広げ、(3)プランニング(計画)の側面では、累積レベルの戦術計画として、下位の工場スケジュールや購買スケジュールに加えて、上位の事業計画や予算管理(財務評価)との連携が強化されてきたのです。
S&OPプロセスについては、その論者や発展段階によって、いくつかの構造やサブプロセスが紹介されていますが、筆者はS&OPプロセスを、以下の0〜4および5の流れで整理しています。
上記0〜4のプロセスを経て、最終的に「5. エグゼクティブ・ビジネス・レビュー」へと至る、トップマネジメント以下、関連機能部署のミドルマネジメントが参画する「データ収集+5つのサブプロセス/ステップ」から構成される一連の月次の情報共有と意思決定のプロセスであると定義しています。
図2にS&OPの5つのサブプロセスごとの参画者の例を示してあります。
以下にS&OPの各サブプロセス/ステップについて、その概要を紹介しておきます。
このステップでは、ERPをはじめとするITシステムの情報を活用して情報収集を行い、マネジメントに対して有用な情報を提供します。
このステップでは、中長期をにらんだ新製品の導入や新工場の建設などのプロジェクト・マネジメントが含まれます。
このステップでは、統計的需要予測やCRM(顧客関係管理)などが含まれます。
このステップでは、MPS(マスター・スケジュール)やMRP(資材所要量計画)などが含まれます。
このステップでは、予算などの財務情報と連携が含まれます。
このステップでは、責任者としてのトップマネジメントの最終意思決定を行います。
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