ここで、「バリューチェーン上の課題チェックリスト」を使って自己診断してみましょう。
各項目は、課題とそれに対して要求されている要素が示されています。市場のスピード化を前に、多くの読者の皆さんが直面している課題がほとんどではないでしょうか。
皆さんが所属する組織で、このチェックリストに掲げた7項目課題のうち、いくつかが該当するのなら、S&OPについて学んでみる価値は十分にあるといえるでしょう。
=グローバルに分断したバリューチェーンをシームレスにつなぐグローバル調整力が求められている。
=環境対応型の戦略計画と業務計画をつなぐ俊敏力が求められている。
=戦略と基幹業務(現場)をつなぐ戦略実行力が求められている。
=最新の経営環境に基づきトップマネジメントが意思決定をした「売上高、コスト、粗利、在庫」のローリング予算、もしくは財務数値を月次に入手する財務評価力が求められている。
=情報共有とコミュニケーションの円滑化により、全体最適を志向する各機能間をつなぐクロス・ファンクショナル力が求められている。
=機能部署担当のミドルマネジメントとグローバル組織をつなぐ組織学習力が求められている。
=ERPシステムの全体導入を加速し、ITアプリケーションとデータをつなぐIT活用力が求められている。
S&OPの導入により期待される効果は、大きく分けて、顧客サービスの向上や在庫の削減といった計数化が可能な「ハード・ベネフィット」と、ミドルマネジメントのスキル向上やチームワークの高揚など定性的で、測定することが難しい「ソフト・ベネフィット」に分けることができます。
前述した顧客サービスの向上や在庫の削減といったハード・ベネフィットの追求は、TQM、JIT、カイゼンといった日本企業が得意とするソリューションをはじめとして、多くのイニシアティブの相乗効果によって生まれる結果指標です。
そこで、ハード・ベネフィットもさることながら、グローバル化や経営環境の変化に直面している多くの日本企業にとっては、S&OPによってもたらされるソフト・ベネフィットが、大いに注目に値するといえるでしょう。
参考までに、S&OPによりもたらされるソフト・ベネフィットを「S&OPの7つのパワー」として、図1にまとめておきます。
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