今回のテーマは“ケータイ”。話題のAndroidやiPhone向けアプリケーションの展示・デモンストレーションを行っていたブースを中心に紹介する
過去、@IT MONOist(アットマークアイティ・モノイスト)でお届けしてきたESECイベントレポートは、「これぞ組み込み」といった新製品・技術にフォーカスした内容が多かった。本稿では、ESEC2009レポートとして掲載した「見えてきた!? ケータイ以外でのAndroidの適用例」に続き、従来と少し趣向を変えてESECをレポートしてみようと思う。
今回のテーマは、“ケータイ”。特にいま話題のiPhone/Android向けアプリケーションの展示・デモンストレーションを行っていたブースを中心に紹介していく。
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NID・ISは、iPhone用アプリケーション「GPS-R for iPhone」をAndroidへ移植。「GPS-R for Android」としてリリース(2009年4月30日)し、ESECで展示・デモンストレーションを行った。
GPS-Rは、iPhone向けにリリース(2008年11月)された「場所リマインダーアプリケーション」だ。ユーザーは同アプリケーションで目的地の地図を表示し、その地点で行うべき目的や通知方法、通知範囲、自動検索のON/OFFなどをあらかじめ設定しておく(画像1)。そして、アプリケーションを起動した状態で目的地周辺(設定した通知範囲)に近づくと、アラーム音/バイブレーションで、登録した内容を通知してくれるというものだ。例えば、手紙の投函(かん)し忘れの防止や、電車・バスなどの乗り過ごしの防止などで活用できるという。「App Storeで無償提供しており、現在およそ5万5000ダウンロードに達している」(説明員)。
今回移植されたAndroid版は、同社で行っていたAndroid勉強会のメンバを中心とした有志数名により開発されたものだという。「当初は、開発環境の構築手順やAndroid SDKに付属しているサンプルコードの理解からはじめていたが、そのうち『どうせやるならAndroid Marketに公開できるようなアプリケーションを開発してみよう』ということになり、iPhoneですでに提供していたGPS-Rを移植することになった」(説明員)。
Androidはアプリケーションのバックグランド動作をサポートしているため、iPhone版に比べて使いやすいものになっているという(注)。「iPhone版では、GPS-Rを常時起動させておく必要があった。ユーザーの使い勝手の面で、われわれが目標とする仕様には作り上げることができなかった」と説明員。GPS-R for Androidは、すでにAndroid Marketで公開されており、iPhone版と同様に無料でダウンロードできるとのこと。
今後の方向性について、説明員は「既存のiPhone版にとらわれることなく、Androidのプラットフォームを生かした操作性の改善や機能追加などのバージョンアップを検討していく」と話す。
そのほか、同社はiPhone上で切り絵が楽しめる「Ki-Ri-e」(230円/DL)(動画1)や、録音した複数音源のミキシングや再生速度の変更が可能な「カメレ音」(115円/DL)などを開発しており、同様に展示・デモンストレーションが行われていた。
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日本システムウエアは、Android端末向けのマルチメディアプレーヤ「nswPlayer」の展示・デモンストレーションを行った(画像3)(動画2)。同製品はタブで、動画・音楽・画像などを切り替えられるのが特長で、H.264/AVC、MPEG-4、3GPP、MP3、AAC、AMR、PNG、JPEG、GIF、BMPなどのファイルフォーマットに対応している。なお、ESECではAndroid Marketに登録済みのものから若干のバージョンアップがなされた未公開バージョンが用意されていた。「ユーザーからのコメントを参考に、不足機能などの追加を順次行っている」と説明員。
Android Marketに公開中の現行バージョン(無料)は、すでに約3万ダウンロードに達しているという。説明員は「標準のメディアプレーヤではシフトJISに対応していないので、日本語の楽曲名などが文字化けしてしまうことがあるが、nswPlayerであれば問題なく表示される。標準のメディアプレーヤには負けたくない」とその意気込みを語った。そのほか、画像編集機能として同社が開発した色覚補正アルゴリズムを組み込むなどの対応がなされていた。
また、現在開発中の「nswScheduler」というスケジューラーについても簡単なデモンストレーションを見ることができた。
アルファシステムズは、M-DMP(DLNA v1.5 Mobile Digital Media Player)機能を実現するiPhoneおよびiPod touch向けアプリケーション「Media Link Player」の展示・デモンストレーションを行った。
M-DMPとは、DLNAで定義されたモバイル機器向けの機能のこと。“DMP(Digital Media Player)”と付くようにコンテンツを保存し、ほかの機器へ配信する「DMS(Digital Media Server)」から提供されたコンテンツを再生するクライアントを意味する。
同製品は、同社ミドルウェア「alpha Media Link SDK」(注)を用いて開発されたメディアプレーヤ。Wi-Fi経由で、ホームネットワーク上にあるDMSを最大8台まで自動検出・接続することが可能で、これらサーバが公開している動画(MPEG-4)、音声(MP3、AAC)、静止画(JPEG)コンテンツ(いずれも100Mbytesまで)を再生できるというもの(画像4)。
展示会場では、同社の「地上デジ対応/HDコンテンツ配信サーバ開発プラットフォーム」に保存されている動画コンテンツを、Media Link PlayerをインストールしたiPod touchから呼び出し、再生させていた(画像5)。「配信サーバ(DMS)は、DMP側の要求に応じて、保存してあるコンテンツを対象のDMP機器に合わせてリアルタイムトランスコードして配信している」(説明員)。
なお、同製品の体験版「Media Link Player Lite」がまもなく(説明員によると2009年5月中)App Storeに公開される予定だという。「Windows Media Player 11以降にはDMS機能があるので、専用のDMS機器がなくてもDLNAを気軽に体験できる」(説明員)。興味のある方は一度試してみてはいかがだろうか。
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