バネの伸びは加えられた力に比例する。伸びた分が「ひずみ」である。部品がバネであると考えればひずみと応力の関係も理解しやすい。
いささか大ざっぱではありますが、前回までに応力というものを説明してきました。大事なことですので、ここで応力についてもう一度まとめておきます。
次の3点を押さえておいてください。
この連載の例題でも示したように、構造物が簡単な形状でかつ単純な荷重状態であれば、手計算で応力を求めることができます。ところが皆さんの設計しているモノはそんなに単純なモノではないのです。手計算で求められない応力をどうやって求めるか。解析(CAE)は応力を求める重要な手段の1つです。
まず今回は、解析の応力チェックについて解説させていただきます。これが今回のテーマへとつながっていきます。
僕のこれまでの経験では、解析を行うとき、応力を見るとまず「大きい」「小さい」と論じる人が多いように思います。応力が発生しているのは、変形が生じているからなのです。ですから、まず、変形が妥当かどうかチェックするのが、まず解析の結果を見るとき最初に行うべきことです。
詳しい解説は別の機会に譲るとして、構造解析の数値解析の代表的な手法である有限要素法でも、まず構造物の変形を求めて、その数値を基にして応力計算します。よって変形が妥当でない限り応力を信じてはいけません。解析結果はまず変形をチェックすることを忘れないでください。
応力は変形しなければ発生しません。一般的に応力は目に見えません。ただし応力を可視化する光弾性試験という方法があります。手法の原理は18世紀当初にすでにあったようです。
光弾性試験とは
この連載も「材料力学を人サマに教える」という目的があってのことなのですが、文字と図、という媒体で、人にモノを伝えることの難しさを感じています。最近は大人でも十分楽しめる子供の科学が教育の現場で話題になっています。特に小学校や中学校の先生の工夫には、驚かされるものがあります。まさかと思って調べてみるとありました。
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