惣菜製造業大手フジッコの主力工場に構築されたのは、食の安全性に対する消費者の信頼獲得をねらった生産管理システムだ
NECとアビーム コンサルティングは2007年8月21日、惣菜製造業大手フジッコの主力工場に基幹業務ソフトウェア「SAP ERP」を基盤とした新生産管理システムを構築し、6月から稼働開始したことを発表した。フジッコは今後、同システムをほかの工場にも順次導入し、購買・販売・物流などを含む基幹システムを刷新する予定だという。
新生産管理システムの立ち上げは、フジッコの全社を挙げた経営改革の一環として実施されたもので、「生産管理業務の効率化とデータ精度の向上」「食の安心・安全を実現するトレーサビリティ基盤の強化」「現場情報の『見える化』による意志決定の迅速化」を目的としている。
生産管理業務の効率化では、新規導入されたタッチパネルにより手書きメモを追放、個別システムだった生産計画・製造実績管理などを統合してデータの一元化を実現した。これにより、生産計画から製造指示、レシピ管理などの処理がシームレスに流れるようになったという。また、製造実績の入力や製造指示の表示を自動化でき、担当者の作業工数削減にもつながった。
消費者の食の安全に対する厳しい目に対し、フジッコはすでにホームページで同社食品のロット番号を入力すれば原料を検索できるトレーサビリティ・サービスを提供してきたが、新生産管理システムの構築に当たってより詳細に原料の配合情報まで提供できるようにした。また、原料・配合情報と入庫伝票や製造指図を関連付けて管理できるようになり、より精度の高いトレーサビリティが実現したという。
さらに生産にかかわる情報管理を一本化したことで、生産現場における歩留まりや受払実績、在庫といった情報をリアルタイムで把握でき、迅速な意志決定が可能になった。これは現場レベルの改善運動から経営層での戦略立案まで、全社的な情報活用につながるとしている。
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