画像認識LSIが車載システムを革新!組み込みイベントレポート(3/3 ページ)

» 2006年11月30日 00時00分 公開
[八木沢篤,@IT MONOist]
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安心してFPGAを使ってほしい

 FPGAとCPLD製品を提供するザイリンクスは、販売代理店である東京エレクトロンデバイス、アヴネットジャパン、新光商事、PALTEK、菱洋エレクトロなどと共同出展を行った。FPGA事業の取り組みについて説明員は、「ユーザーの手間を減らし、さらにユーザー独自の仕様や希望に対応しやすいものを提供するには、FPGAだけを販売するのではなく、OSやミドルウェアなどを組み合わせて提供することが大切」と語る。また、「組み込みOS、ミドルウェアなどを扱っているベンダと協力して、開発キットなどを用意している。ユーザーには安心してFPGAを使ってほしい」という。


日新システムズ LinuxLink Kit for ML403/405を利用したDivXデコードのデモ 日新システムズ LinuxLink Kit for ML403/405を利用したDivXデコードのデモ

菱洋エレクトロ T-Engine向けの開発キットと新光商事 T-Engine用の拡張FPGAボード 菱洋エレクトロ T-Engine向けの開発キットと新光商事 T-Engine用の拡張FPGAボード

 また、同ブースでは2006年10月16日(米国時間)に世界同時発表されたばかりの65nmプロセスFPGA Virtex-5ファミリ「Virtex-5 LXT」の展示も行われた。説明員によると「FPGAがよく採用されている携帯電話の基地局やルータなどを開発するユーザーからは、高速データ転送、高速処理が求められている」という。そのため、同製品にはPCI Expressブロックと低消費電力シリアルI/Oが搭載されている。

 FPGAでPCI Expressを採用する場合、これまではユーザーがIPを購入して、自分でFPGAに組み込む必要があった。しかし、同製品はFPGA内にハード化された組み込みPCI Express Endpointブロックを搭載しているため、IPを組み込む手間やコストを削減できるという。また、IPを使用するよりも、大幅にLUT(Look Up Table)の節約が可能となり、消費電力の低減も実現できるとのこと。


 パシフィコ横浜の会議センターでは、各社によるカンファレンスも行われていた。マイクロソフトは、2006年11月13日に提供を開始したばかりの「Windows Embedded CE 6.0」に関するプライベートカンファレンスを実施した。

CE 6.0 カーネル100%公開で差別化を

 冒頭のキーノート・セッション「いよいよ登場 Windows Embedded CE 6.0」にモバイル&エンベデッドデバイスグループ シニアテクニカルプロダクトマネージャ マイク・ホール(Mike Hall)氏が登壇した。

Mike Hall氏 米国Microsoft Mobile and Embedded Devices Group Senior Technical Product Manager Mike Hall氏

 同氏は、はじめにWindows CE(以降、CE)の10年の歴史について説明した。1996年にリリースしたCE 1.0は、Handheld PCなどのPDA向けとして登場。当時はCEの開発環境が十分に整備されておらず、なかなか普及しなかったという。翌年、コンポーネント化された汎用組み込みOSとして、CE 2.0をリリース。2000年には、CEカーネルを再設計し、ハードリアルタイムをサポートしたCE 3.0が登場した。そして、CE4.0と5.0ではATL(Active Template Library)やMFC(Microsoft Foundation Class)、.NET Compact Frameworkをサポート。また、OSの構成からデバッグまでを効率よく実現するために「Platform Builder」などアプリケーション開発支援に関する対応をしてきた。

 そして、今回リリースされたCE 6.0では「プロセス数をもっと増やしてほしい」「仮想メモリの拡張をしてほしい」というユーザーの声に応えるため、CE 3.0以来2回目となるカーネル再設計を実施したという。これにより、同時に実行できるプロセスの数は、従来の32から3万2000に急増。仮想メモリも従来の32Mbytesから2Gbytesに拡大され、ハイパフォーマンスを実現した。

 また、今回から「マイクロソフトシェアード ソース プログラム」を通じ、CE 6.0のカーネルソースコードを100%公開した。これにより、デバイスメーカー各社は独自にカーネルを改良することができ、差別化が図れるようになるという。


 ETは2006年で20回目となり、組み込み業界の企業が多数出展した。また、夕方近くになっても続々と人が詰め掛けており、大盛況であった。今回も最新の組み込み技術とソリューションが多数集結し、数ある組み込み系イベントの中でも、特に「組み込み色」が強く感じられた。


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