もうすぐ出荷が開始されるVisual Studio 2005は、組み込みアプリケーション開発環境としても多くの改良や変更が施されている
現在、Pocket PCやWindows MobileなどのPDA端末および携帯電話、キオスク端末、家電製品、産業用コントローラなど、さまざまなWindows Embeddedデバイス製品が登場している。マイクロソフトは、それら組み込みデバイス市場に向けて2種類のOSを提供している。
1つは、「Microsoft Windows XP Embedded」(以下Windows XP Embedded)である。Windows XP Embeddedとは、Windows XP Professionalのすべての機能を1万個以上のコンポーネントに分割したものである。必要なコンポーネントを組み合わせて、独自仕様のWindows XPデバイスが作成できる。また、Windows XP Embeddedの一種として、POS/KIOSK端末向けの「Microsoft Windows Embedded for Point of Service」(以下WEPOS)が提供されている。WEPOSはWindows XP Professionalよりも機能が限定されており、POS/KIOSK端末で利用するコンポーネントのみが実装されている。これによりフットプリントが小さく、より組み込み市場に特化し、かつWindows XP Embeddedよりも容易に利用できる。
もう1つのOSが「Microsoft Windows CE 5.0」(以下Windows CE)である。このOSはWindows XPベースではなく、機能がすべてコンポーネントで構成されている。高度なネットワーク環境、多彩なマルチメディア機能などのコンポーネントを必要に応じて組み合わせることにより、フットプリントの小さなOSを作成できる。また、Windows CEはプロセスによるメモリ保護機能やマイクロ秒レベルでの応答性能などを追求したリアルタイムOSである。Windows Mobileや車載端末向けのWindows Automotiveは、このWindows CEをベースに作られている。
Windows XP Embeddedはx86系プロセッサのみのサポートであるが、Windows CEではx86に加えてARM、SHx、MIPSをサポートしている。
本稿では、Windows CE用組み込みデバイスアプリケーションの開発を通して「Visual Studio 2005」(以下VS2005)の機能を説明する。なお、Visual Studio 2005 Beta 2日本語版をベースとしているため、製品版とは異なる点が生じる可能性があることをお断りしておく。
一口にVS2005といっても、製品には非常に多くのエディションが存在する。VS2005の製品ラインアップの中でWindows CEアプリケーションの開発をサポートしているのは、
である。ただし、Standard Editionはデバイスに接続してのリモートデバッグ(後述)が未サポートとなっている。
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