さて、今週公開した記事についても紹介したいと思います。曙ブレーキ工業が発表した自動車用ブレーキの検査結果改ざんの調査結果が話題になりました(関連記事:4931件は顧客の管理値外、11万件以上で不正検査を行った曙ブレーキの調査結果)。調査により、20年にわたって検査報告数のうち半数以上で不適切な行為が行われていたと判明しました。
2016年に判明した三菱自動車の燃費計測試験での不正以来、自動車関連を始めさまざまな分野のモノづくりでこうした出来事が続いています。結果的に製品としての品質や性能、安全性に問題はないという事例が多かったようですが、これは不幸中の幸いというよりも、かえって問題を複雑にしているように思います。
さて、今週はトヨタ自動車のソフトウェアエンジニアが登壇した、エンジニア向け勉強会のレポートも掲載しました(関連記事:ハードウェアと同じくらいソフトウェアを強くする、トヨタのアプローチ)。
「ソフトウェアファースト」とは聞くけれども、じゃあトヨタは何をするつもりなのか……という全体像がよく分かる勉強会でした。トヨタのソフトウェア開発の取り組みを何度か記事にしてきた中で印象に残っているのは、ソフトウェアエンジニアが自動車のために思い切り仕事をする基礎や土台となるような部分を作ろうとしているところです。ウーブン・プラネット・ホールディングスのトップであるジェームス・カフナー氏の発言から、折に触れてそういう印象を持ちました。
伝統的な自動車メーカーはテスラなどの新しい自動車メーカーと比べてソフトウェアの面で遅れているという指摘をよく見聞きしますが、トヨタが進めている“基礎工事”を見ると、過去何年かの差は簡単に埋まるのかもしれないという気がしてきます。課題があるとすれば、ソフトウェアエンジニアがハードウェアエンジニアに対して「もう少し優しくして」と言ってしまうトヨタの社内の状況です。子どもじみた言い方になりますが、どうしたらもっと仲良く、歩み寄れるのでしょうか?
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