ソフト開発は「ツールとインフラが9割」、トヨタの先行開発会社が重視すること:自動運転技術(1/3 ページ)
トヨタ自動車、デンソー、アイシン精機の共同出資会社であるToyota Research Institute Advanced Development(TRI-AD)は2019年1月30日、東京都内で事業説明会を開いた。
トヨタ自動車、デンソー、アイシン精機の共同出資会社であるToyota Research Institute Advanced Development(TRI-AD)は2019年1月30日、東京都内で事業説明会を開いた。
TRI-ADは2018年3月に設立された新会社で、本社を東京都中央区日本橋に置く。トヨタ自動車の米国子会社Toyota Research Institute(TRI)などが取り組む自動運転技術に関する研究を、トヨタ自動車本体の製品開発に橋渡しする役割を担っている。
TRI-ADの親会社であるトヨタ自動車は、自動車メーカーからモビリティカンパニーに変わることを掲げ、車両のビッグデータを活用して新しいサービスを創出するための「モビリティサービス・プラットフォーム」も用意している。その中で、自動運転技術はモビリティサービスの収益や価値を底上げするものとして位置付ける。
TRI-ADでは、こうした方針の下、バグのない車載ソフトウェア開発とそれに向けた人材育成、自動運転用の高精度地図のメンテナンス効率化に向けたオープンAPIの提供、ユーザーエクスペリエンスデザインなどを推進する。
トヨタグループの中での位置付け
事業説明会には、TRI-ADのCEOであるJames Kuffner氏やCTOの鯉渕健氏、バイスプレジデントたちが出席した。Kuffner氏はTRIのCTOで、グーグル(Google)のロボティクス部門長を務めていたことでも知られる。鯉渕氏はトヨタ自動車 先進技術開発カンパニーの先進安全領域 領域長だ。
各分野のバイスプレジデントは、地図データ大手HEREの自動車事業でアジア太平洋地域の責任者を務めたマンダリ・カレシー氏、グーグルに10年以上在籍しTRIでユーザーエクスペリエンスの責任者を務めるThor Lewis氏、Netflixでシニアプラットフォームエンジニアを務めた経験のあるNikos Michalakis氏、トヨタIT開発センターの元社長でトヨタ自動車 先進技術開発カンパニー 電子制御基盤技術部 主査の谷口覚氏といった顔ぶれだ。
TRI-ADは、トヨタグループの自動運転開発体制の中で、量産に向けた先行開発を担う。自動運転車の車載ソフトウェアは、シミュレーションや機械学習を活用し、TRIからTRI-ADに、トヨタ自動車へと開発を引き継ぎながら成熟させ、無線ネットワークによるアップデート(OTA:Over-The-Air)で車両の販売後も性能向上や機能追加を続ける。
トヨタグループの自動運転研究は、TRIが人工知能(AI)や実験車両を用いた自動運転を、トヨタモーターヨーロッパが認識技術を、豊田中央研究所がセンサー技術を担う。スタンフォード大学やマサチューセッツ工科大学などの大学もパートナーとして研究に参加している。量産モデルの開発は、トヨタ自動車本体と、デンソーやアイシン精機、アドヴィックス、ジェイテクトの4社で設立したジェイクワッド ダイナミクス(J-QuAD DYNAMICS)が行う。さらに、パートナーとして、デンソー、アイシン精機、NVIDIA、Preferred Networks、ルネサス エレクトロニクスが名を連ねる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.