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ソフト開発は「ツールとインフラが9割」、トヨタの先行開発会社が重視すること自動運転技術(2/3 ページ)

トヨタ自動車、デンソー、アイシン精機の共同出資会社であるToyota Research Institute Advanced Development(TRI-AD)は2019年1月30日、東京都内で事業説明会を開いた。

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TRIは米国なのに、なぜ東京に?


TRI-ADの鯉渕健氏(クリックして拡大)

 Kuffner氏は、TRI-ADについて、日本のモノづくりとシリコンバレーの俊敏なイノベーションを組み合わせた新しい会社を目指すと紹介した。TRI-ADは現在、仮の拠点として日本橋のオフィスビルに入居しているが、近隣で建設中のビルに2019年夏に移転する計画だ。

 鯉渕氏はTRI-ADの立ち位置について、「間を取り持つ先行開発の会社が必要だった。米国のTRIと日本のトヨタが連携しようと思っても、製品開発と研究の間には距離がある。ソフトウェアやデータは付加価値を生むため重要度が増しており、トヨタ自身もソフトウェアを作れるようになる必要があると考えると、アジアの優秀な人材も引き入れられる東京という立地が適している」と説明した。

ソフトウェア開発の9割はツールとインフラ

 自動運転車の開発や製品化では、ソフトウェアの重要度が増している。Kuffner氏は「自動運転車がデモンストレーションで走行すること自体は難しくない。それを製品として、どのようにバグなしで開発するかが難しい。信頼性の高いソフトウェア開発には、優れた強力なクラウドベースの開発ツールやシミュレーション環境が必要だ。そのための投資を強化する」と語った。

 加えて、Kuffner氏は「車載ソフトウェアの開発には、機械学習や深層学習、開発や実装のためのツール、シミュレーション、SLAM(Simultaneous Localization and Mapping:環境地図作製と自己位置推定)やマップエディター、OTAのツール、AIの学習のためのデータマネジメントなどが不可欠だ。ソフトウェア開発のうち、クルマに搭載される部分が1割、残りの9割はツールや開発インフラを活用することが占めている」と解説した。


ソフトウェア開発のうち9割はツールや開発インフラだ(クリックして拡大) 出典:TRI-AD

 TRI-ADでソフトウェアプラットフォームのバイスプレジデントを務めるMichalakis氏は、ソフトウェアカンパニーになるための取り組みを進めていくと紹介した。その背景として、運転の自動化やインフラとの統合、移動の効率化、車外との接続といった要求に柔軟に対応することが求められているものの、「自動車のソフトウェア開発はスマートフォンと比べて難しすぎる」(同氏)という課題がある。

 「スマートフォンの核となるのはアプリストアだ。さまざまな機能を入手し、もともとインストールされていたアプリが気に入らなければ他のアプリを探して取り換えることができる。一方、自動運転車は、センサー、AI、高精度地図、UX(ユーザー体験)の他、GPUなどさまざまなハードウェアを使うことが要因となってソフトウェアが複雑化している。しかし、自動車業界はその波を乗りこなさなければならない。本当のソフトウェアカンパニーになることが必要だ」(Michalakis氏)

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