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これからEV開発責任者となる人へ、5つの提言和田憲一郎の電動化新時代!(40)(1/3 ページ)

風雲急を告げる、というのであろうか。毎日のようにEV(電気自動車)に関する規制やニュースが流れている。このように各国で一気に電動車への転換が叫ばれており、それに伴い、エンジン車やEVの担当から、EVの開発責任者になる人も多いのではないかと思われる。しかし、EV開発は従来とかなり異なった面を持っている。どのようなことを考えておけば良いのか、筆者の経験から5つの提言としてまとめてみた。先達の意見として参考に願いたい。

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 風雲急を告げる、というのであろうか。毎日のようにEV(電気自動車)に関する規制の情報やニュースが流れている。2020年10月26日に総理大臣の菅義偉氏の所信表明演説で「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」という目標が宣言されるいなや、国内で販売する新車は、2030年代半ばにエンジンのみで走行する新車の販売を廃止し、全てをEVやハイブリッド車(HEV)といった電動車にするという目標となった。

 12月8日には、東京都知事の小池百合子氏が、国より一歩先立って2030年までに「脱ガソリン(脱 化石燃料)」とする方針を表明した。脱ガソリン車が指すのは、HEVやEV、燃料電池車(FCV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)などである。12月9日には、欧州連合(EU)が運輸部門の脱炭素化に乗り出し、ゼロエミッション車を2030年までに少なくとも3000万台普及させる目標を打ち出した。

 このように各国で一気に電動車への転換が叫ばれており、それに伴い、エンジン車担当やEV担当から、EV開発責任者になる人も多いのではないかと思われる。しかし、筆者の経験からは、EV開発は従来とかなり異なった面を持っていた。開発責任者となるに当たってどのようなことを考えておけば良いのか、5つの提言としてまとめてみた。先達の意見として参考に願いたい。


図表1:主な欧州の規制と日本の規制(クリックして拡大) 出典:IEA Global EV Outlook 2020、各紙の報道を基に作成

→連載「和田憲一郎の電動化新時代!」バックナンバー

5つの提言

 さて、いきなり本論に入りたい。今後EV開発責任者となる方は、少なくとも以下5つの視点に留意しながら開発を進めることをお勧めしたい。なお、EV開発責任者だけでなく、部品メーカーのEV部品開発責任者も参考に願いたい。

(1)ステージが変わったことを意識せよ

 今後、電動車、特にEVが増えることに対して、一般の人は「エンジンからモーターに変えるだけだから、部品点数が少なく、開発が簡単だ」と考える人がいるかもしれない。この考えはとんでもないと思う。自動車業界の関係者の中にも、「日本はこれまでガソリン車やディーゼル車において世界で優位なポジションを占めてきた。EVになっても大丈夫だ」という人がいるかもしれない。

 しかし、筆者からみれば、これからの「第2世代EV」は、第1世代EVや従来のエンジン車と比較すると戦う土俵がかなり異なっている。

 これについて少し説明したい。日本における「第1世代EV」は、2009年発売の三菱自動車「i-MiEV」と2010年発売の日産自動車「リーフ」から始まった。第1世代EVで最も重要なことは、これまで量産型EVが存在しなかった中での安全性や信頼性の確保である。


図表2:三菱 i-MiEV(2009年発売時)(クリックして拡大) 出典:三菱自動車

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