導入数が増え続けるミスミの「間接材自販機」 導入事例から解き明かす事業の強み:製造マネジメント インタビュー(1/3 ページ)

ミスミグループ本社は間接材トータルコストダウンサービスである「MISUMI floow(フロー)」を導入したスタンレー電気浜松工場における、運用効果を公開した。同サービスの概要や実際のスタンレー電気における導入効果の詳細や今後の展望などについて、同事業を推進するミスミ Factory-MROビジネス・ハブ 執行役員の大内郁浩氏らに話を聞いた。

» 2026年11月02日 07時00分 公開
[坪田澪樹,MONOist]

 ミスミグループ本社(以下、ミスミ)は2026年10月9日、間接材トータルコストダウンサービスである「MISUMI floow(フロー)」を導入したスタンレー電気浜松工場(静岡県浜松市)における、約2年間にわたる運用効果を公開した。

 同サービスの概要や実際のスタンレー電気における導入効果の詳細や今後の展望などについて、同事業を推進するミスミ Factory-MROビジネス・ハブ 執行役員の大内郁浩氏と、同社 Factory-MROビジネス・ハブ 日本FM事業部 マーケティング推進室 マーケティング推進チームの野々村真希氏に話を聞いた。

左からミスミの大内郁浩氏と野々村真希氏

ミスミは現在3種類の自販機を展開 日本は「重量センサータイプ」が主流

 MISUMI floowは、顧客の需要データに基づいた最適な形で間接材の提供を可能とし、工場における調達の整流化を実現するサービスだ。顧客が高頻度で使用する製品については工場内に専用の自動販売機(以下、自販機)を設置し、ユーザーは作業に必要な製品を好きな時に自販機から取り出すことができる。

 大内氏は「従来の業務の変革という部分では、顧客は間接材を発注する手間がなくなり、自販機の中の在庫はわれわれの在庫になるため、顧客は間接材の管理の必要もなくなる。さらには、棚卸し不要になるということで、需要のデジタル化を起点に間接材プロセス全体を合理化するアプローチになっている」と強調する。

MISUMI floowの詳細[クリックで拡大] 出所:ミスミグループ本社

 MISUMI floowは現在、「ロッカータイプ」「重量センサータイプ」「ドロワー(引き出し)タイプ」の3種類の自販機をラインアップしている。各製品は顔認証やIDカードで利用者を確認後、本体に設置されているタッチパネルから必要な商品を選択すると扉のロックが解除され、利用者はそこから必要な商品を取り出すことができる。

 管理者が商品を一気に取り出して現場に配った方が早いという顧客向けにはロッカータイプが主に導入されている。特に労働者が多い中国ではこちらのタイプが多く採用されているという。

「日本では権限を個人に与えて一人一人管理したいといったニーズが強いため、重量センサータイプの導入が一番多い。これは1つずつの間口に重量センサーが備わっており、いつ何を何個取ったのかがデータとして蓄積されていくという仕組みになっている。また、より細かい商品を省スペースで保管したいといったニーズに合わせて、ドロワータイプを開発している」(大内氏)

自販機の外観。左から重量センサータイプ、ロッカータイプ、ドロワータイプ[クリックで拡大]

 また、自販機の間口ごとの在庫量はミスミ側で常に把握/管理している。AI(人工知能)を活用して最適なオペレーションを組んで在庫切れが起きない仕組みを回し、全国の顧客を対象にサービスを展開している。

自分がいないと現場が回らない…… 管理者を苦しめるメンタルコスト

 MISUMI floowの採用事例として、自動車用の照明機器を製造するスタンレー電気浜松工場における導入事例が公開された。同社では、必要な人が必要な時に必要な分だけ供給するJIT(ジャストインタイム)の考え方に基づいた独自の生産革新活動「SNAP」を通じて、生産現場の無駄を見直して、効率化を進めている。

 浜松工場は同活動を生産材や生産工程で実践してきたが、手袋などの間接材管理には、在庫確認や注文などの人手を要する業務が残っていた。そこで、同工場は2024年9月にMISUMI floowを導入し、間接材管理における課題の解決を図った。

 野々村氏は「浜松工場の現場では、部署ごとの担当者がある一定のラインを下回ったら使用する手袋の状況を目視で確認し、発注量に関しても『来週は休みが多いのでこのぐらい多めに発注しよう』というような形で、担当者の感覚や経験を頼りに注文を行っていた」と説明する。

 続けて、「手袋の使用量に関しても、通常勤務(8時間)から2交代制(16時間)に切り替わる時はその分手袋の使用量が倍になり、有機溶剤などを触った場合は製品ごとに手袋を変える必要があるため、使用量がかなり変動していた。そのため、発注量の判断が難しい状況であった」と語る。

 また、間接材の管理担当者は各課に1人しかいないため、担当者が急に休むことになった場合に、別の人間が手探りで対応しなければならず、自分がいないと欠品が発生してしまうなどの不安が生じ、管理担当者を苦しめる「メンタルコスト」が高い状況であったという。

スタンレー電気浜松工場におけるMISUMI floow導入の経緯[クリックで拡大] 出所:ミスミグループ本社
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