Arm Total Designは2023年10月に発表されたソリューションである。骨子はCSS(Compute Sub System)に加えてサードバーティーのIPやファウンドリーサービスなどと組み合わせて製品の市場投入期間を短縮するというもので、この時にはNeoverseベースのサーバ向け製品に向けて提供されていた。今回はこの対象をフィジカルAIに広げよう、というものだ(図9)。
図9 もともとArm Total DesignはNeoverse CSSの実装を手助けするエコシステムパートナーの集合だったが、今度はフィジカルAI向けのエコシステムパートナーの集合になるわけだ[クリックで拡大] 出所:Arm実際発表されたパートナー企業はまさしくフィジカルAIというかフィジカル向けという感じになっている(図10)。
ただ自動車業界に関しては既にSOAFEEなどもあるので、こちらではロボティクス業界に向けてまず共通言語を定めるところからスタートしており(図11)、将来的には単なるドキュメントだけでなく階層構造のプラットフォームやハードウェア/ソフトウェアスタックを提供する事を想定している(図12)という話である。これらは長期的な取り組みになるわけで、そうした取り組みを始めた、というアナウンスであった。
図11 このRobotics Capability Frameworkはこちらから入手可能。共同で作業するには、まず共通言語が必要で、それをこのフレームワークで定義している格好だ。図9右下の“Common language”がこれである[クリックで拡大] 出所:Arm前回紹介したように、2026年4月にNeoverse V3をベースとした初のシリコン製品としてAGI CPUが発表された。
この発表時には細かいスペックは未公開だったが、2026年8月に開催されたHot Chipsでもう少し詳細な情報が示されている(図13)。
図13 製造プロセスはTSMCのN3Pで、ダイ1個当たりのトランジスタ数は500億個以上と説明されている。64/128/256コアの3種類のSKUがあるが、どのSKUも2ダイのチップレット構成になっていると説明された[クリックで拡大] 出所:ArmさてそんなAGI CPUを発表してまだ間もない時期であるが、早くも次の世代であるNeoverse N4が発表された(図14)。
図14 Neoverse N3とNeoverse N4の性能比較。下の脚注にあるように、Neoverse N3はTSMC N5、Neoverse N4はTSMC N3Pで製造とあるので、プロセスの差も加味しての性能や効率の差になることに注意[クリックで拡大] 出所:Armもっとも、現状はその存在が発表されただけであって、まだ詳細は説明されていない。ただ質疑応答の中で、以下のようなことが示された。
このNeoverse CSS N4、まずはTSMCのN3/N3Pプロセスがターゲットとなるが、これに加えてTSMCのN2およびSamsungのSF2/SF2Pもカバーするという説明があった。ちなみにIntelのノードに関しての言及は特になかった。ダイあたりのコア数は最大128とされ、LPDDR6やPCIe 7.0などのサポートも用意される。時期的に言えば2027年後半あたりに、Neoverse CSS N4を搭載したCPU製品の発表がユーザーからあるのではないかと思う。
ちなみに、AGI CPUとの差別化については「多くの顧客は特殊なユースケースや要件に応じ、独自の特定用途向けカスタムSoCを引き続き開発/投資していくと予想される。Neoverse CSS N4はこうした顧客に向けて提供される。一方で、一部のクラウドプロバイダーなどを筆頭に、激化するAI競争の中で『Compute Infrastructureを極めて迅速にスケールさせたい』というプレッシャーに直面している顧客が存在する。こうした顧客に対して、即時展開ニーズを満たす製品としてAGI CPUを提供する」という説明であった。
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