ArmのCSS for Mobile 2はPC向けの伏線!? Neoverse CSS N4はAGI CPUと競合せず:Arm最新動向報告(19)(2/3 ページ)

» 2026年10月08日 08時00分 公開
[大原雄介,MONOist]

Mali G2ではPCゲーミングの技法をモバイルに取り込む

 次はGPUのMali G2である。まず大前提として最近のPCの世界で一般的になりつつある、AIを利用したアップスケーリングやノイズ削減、フレーム補間といった技法をモバイルにも持ち込もうという動きがあり、これに対応する形になった(図5)。

図5 図5 ちなみにNVIDIAのDLSS 5ではついにAIベースの(フレーム補間ではなく)フレーム生成まで踏み込んでいるが、まだそこまではいかないもよう[クリックで拡大] 出所:Arm

 具体的には、Mali G2では新しくNeural Acceleratorsが搭載されたとしている(図6)。1W程度の消費電力でAI処理を可能にするとしているが、そのAI処理とはCNN(畳み込みニューラルネットワーク)あるいはTensor Graphの実行に最適化されているという話であった

図6 図6 ArmによればExecution EngineはMali G1からISAが変更されており、さらにマイクロアーキテクチャも刷新。同一周波数における処理性能が最大14%向上したとのことである[クリックで拡大] 出所:Arm

 例えば、AMDのRadeon系列だとシェーダのベクトルエンジンにDP4a(Dot Product 4 Accumulate)エンジンが搭載されており、これを利用してAI処理が可能になっているし、一方NVIDIAのGeForce系列だとTensor Coreと呼ばれる専用の処理エンジンがシェーダのベクトルエンジンとは別に用意されるという実装になっている。

 Mali G2がどちらの実装かに関しては質問しても明確な回答はなかったが、図7を見ると、NVIDIA式と同様にシェーダのベクトルエンジンとは別にNeural Acceleratorsが搭載されているように思える。

図7 図7 このMotion Engineなるものの正体は不明[クリックで拡大] 出所:Arm

 Execution EngineとNeural Acceleratorsを併用することで、NSS(Neural Super Sampling:AIを利用した画像拡大)やNFRU(Neural Frame Rate Upscaling:AIを利用したフレーム補間)、NSSD(Neural Super Sampling and Denoising:画像拡大+ノイズ削減)といった機能が実現できるとしている。

 ちなみに、NSSやNSSDを使うことで、元のレンダリング画像を例えばスクリーン面積の半分にしてもフルスクリーンの画像を得ることができ、しかもレンダリング時間を半分に減らせるからフレームレートも向上できる。それでも足りない場合は、NFRUを使って2枚のレンダリング画像の中間画像を生成するということで、見かけ上の滑らかさを保つことができる。

 スマートフォンやタブレット端末でゲームをするユーザーが増え、ところがゲームの高画質化/高精細化などが進むと当然負荷が増えるから消費電力も増え、バッテリーの持ちが悪くなる。そこでNSSやNSSD、NFRUを併用して、GPUの負荷を減らしながらユーザー体験を維持する、という方策が求められた結果の対応である。

 図8は実際のアプリケーションでの比較で、ゲーム側がMali G2に対応することで、より高い性能あるいは1000本単位の光線を利用するレイトレーシングを実施した際のノイズ削減に効果がある、という説明であった。

図8 図8 このベースラインはMali G1と思われる。右側、FPSとEfficiencyがどちらも4倍なのは両立しているわけではなく、消費電力を同じにするならFPSを4倍、同じFPSなら効率が4倍の意味と思われる。また右側のグラフ(どちらもレイトレーシングベース)を見ると、Non-AI Gamingでも14%の性能改善が果たされているとする[クリックで拡大] 出所:Arm

 このNeural Accelerators、ピーク性能で言えば50TOPS程度の性能となるが、実用上は10〜20Wのレンジになりそうという話であった。この辺は実際に利用する環境によって大きく変化するところだろう。

 最後にSI L2について。SI L1はLumex CSSと併せて発表されたインターコネクトであるが、現時点ではまだSI L2の詳細は一切公開されていない。SI L1は同社のCI-700の後継となるもので、内部を全部作り替えたという話であったが、SI L2がどの程度変更になったのかは不明である。

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