大企業内部で前例のないフィジカルAI事業を推進するためには、戦略的な社内巻き込みと段階的なアプローチが必要であるという。貞光氏は「社内の人材には自ら能動的に動く『自燃性』の人間と、周囲を支えることに注力する『他燃性』の人間に分けられると思っており、この両者が協力して取り組みを進めることが大事である。まず各部門の自燃性メンバーを味方につける地道な対話を続け、体制を整える必要がある」と自身の考えを述べた。
さらに、役員層への提案においてはCVCが単独で動くのではなく、現場の事業部を味方につけ「事業部の課題解決に役立つ施策」として上申する形式を徹底した。社内の共感者を増やしながら実証を重ねることで、不確実性の高いイノベーションプロジェクトを全社的な推進体制へと昇華させた。
現在、KDDIはローソンなどの実店舗におけるロボットを使用した業務自動化に向けて、2030年を見据えた全社的なロードマップを策定している。2030年までは「ピックアンドプレース」をはじめとする定型的な単純作業をロボットに代替させ、人間はレジ接客などの対人業務に専念する役割分担を目指している。
物流倉庫や小売店舗において、最も自動化が難しく人の手に依存し続けてきた領域がピッキング作業である。リアルワールド 日本代表取締役のイ・フン氏は、「今後の1〜2年がフィジカルAIの本格的な『実装の年』になる。そのためにはフィジカルAIを現場に実装するためのエコシステムがより重要となる」と強調する。
続けて、スタートアップの大事な考えとして、イ氏は「スタートアップはさまざまな投資家と協業先に対して、爆発的な売り上げや確実な実績を証明しないといけないと思っている。当社も信頼して支援をいただいている企業の期待に応えるために、事業取り組みを推進する」と説明する。
単一の企業による取り組みだけでは、日本全体の生産性向上や人手不足の解消という巨大な壁を打ち破ることはできない。このことを踏まえ、KDDIとリアルワールドは、GENIACを通じてデータや基盤モデル、ハードウェア実装のノウハウを広くオープンに還元していく姿勢を示している。さまざまな事業者との連携を深め、循環的なエコシステムを回すことで、より高スペックなAIモデルの創出を目指す。
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