ロボット160台、ビン6.5万個の巨大自動倉庫 50万点の多品種物流に挑む物流のスマート化(1/2 ページ)

物流センター運営を担うSBフレームワークスは、2026年1月に川崎事業所(ESR 東扇島ディストリビューションセンター内)に大規模な自動倉庫システムを導入したほか、ロボットの活用なども含め、倉庫作業の自動化を推進した。その狙いと現状について紹介する。

» 2026年08月31日 07時00分 公開
[三島一孝MONOist]

 物流センター運営を担うSBフレームワークスは、2026年1月に川崎事業所(ESR 東扇島ディストリビューションセンター内)に大規模な自動倉庫システムを導入したほか、ロボットの活用なども含め、倉庫作業の自動化を推進した。その狙いと現状について紹介する。

B2BからB2Cまで50万点のアイテムを扱い、物流コスト高騰が深刻化

 SBフレームワークスは、IT流通事業などを担うSB C&Sの物流センター運営を担っている。SB C&Sは、法人向けICT商材の提供などのほか、コンシューマー向けでは、ソフトバンクショップや家電量販店などを通じて、PCやモバイル周辺機器などを展開している。B2BからB2Cまで多岐にわたるアイテムを取り扱っているのが特徴だ。そのため、物流センター運営で考えた場合、取り扱いアイテム数が50万点と大規模になるほか、取扱量も時期などによって大きく上下動し、物流運営の負荷が高まっていた。

photo SBフレームワークス 代表取締役社長の菅野信義氏

 従来、SBフレームワークスの物流センターでは、こうした変動に人手を中心とした運用で対応してきたが、「物流費が上がっており、コストを抑えながらより多くの商材を取り扱えるようにすることが必要になってきた。そのためには、自動化は欠かせない要素で、数年前から検討を進めてきた」とSBフレームワークス 代表取締役社長の菅野信義氏は語る。

 そこで、2026年1月に川崎事業所への移転を機に、高密度自動倉庫システム「AutoStore(オートストア)」の導入を決めた。搬送ロボット160台、コンテナ(ビン)6万5000個、ワークステーション(ポート)28台を導入した。AutoStore導入の理由について、菅野氏は「高密度保管が可能であるため、自動化以前に保管効率が上がる点でもよいと考えた。また、ソフトバンクグループとして出資している関連企業であることも理由としては大きかった」と説明する。

 AutoStoreはノルウェーの AutoStore Holdingsが開発した、ロボットを活用した物流倉庫のシステムである。格子状のロボット走行用レール「グリッド」と、その内部に製品を格納するコンテナ「ビン」、ビンをピックアップして外部のピッキング用スペース(ポート)に搬送するロボットなどで構成される。作業員(ピッカー)は従来のように倉庫内を歩き回ることなく、ポート前で待っているだけで、指定したアイテムをロボットが搬送してくれる。従業員の作業負荷低減や作業効率の向上が図れるほか、縦に多くのビンを積み上げられるため、保管効率が上がる点でも評価を受けている。

photo SBフレームワークス 川崎事業所に導入されたAutoStore[クリックで拡大]

多品種少量と効率化の両立に課題

 ただ、導入してすぐに成果が出たわけではない。SBフレームワークス 川崎事業所では、SB C&Sが扱う50万点の内、現在B2C系アイテムを中心に約25万点の品番を扱っている。ただ、これだけ多くの品番を扱う事例はAutoStoreでもそれほどなく、効率的に活用するために、さまざまな工夫が必要になったという。菅野氏は「AutoStoreとしても50万アイテムもの多品種で運営した実績があまりなく、もう少し品種が少なく量が多い案件が主流だった。その中で、多品種少量の運用に対し一緒に挑戦するという意味で取り組んだが、苦労した。運用がある程度固まり、成果が出始めたのは最近のことだ」と菅野氏は説明する。

 例えば、AutoStoreは1つの決まったビン(箱)に、アイテムを収納するが、SBフレームワークスの倉庫では、それを12段積んでいる(総数は6万5000個)。それを倉庫の上部を行き交うロボットが取り出して搬送するわけだが、必要なアイテムが一番下の棚に置かれていた場合は、上から1つ1つビンを運び出して、最後に一番下のビンを取り出すという流れとなる。そのため、そのまま使用していると、たまに非常に取り出しが遅くなり、作業員を待たせる事態が発生した。そのため、エリアや段ごとに置くアイテムなどの条件を工夫することで、作業員の待ち時間の低減を進めた。

photophoto ビンの中にさまざまなアイテムが収納されている様子(左)と、AutoStoreの中にビンが何層にも積み重なっている様子(右)[クリックで拡大]

 さらに、限定された時期に大量に出荷されるアイテムなどについては、AutoStore内に入庫しない方が効率が良いことが分かったため、AutoStoreのビンに収まらないアイテムなどと合わせて、別の棚で管理し、こちらは人手で対応するようにしているという。「必ずしも全てをAutoStoreで行う必要はなく、人手を組み合わせて全体として最適な効率が発揮できればよい。そのあたりの知見も実際に運用してみて分かったことだ」と菅野氏は語る。

 また、AutoStore外で人手により行っている入出庫作業については、自動運転フォークリフトの導入を検討しており、試験運用などを進めているところだという。「AutoStoreの外の部分についてもさまざまな自動化を検討している。ソフトバンクグループで出資している関連企業も数多くあり、その中で使用できそうなものを選択して採用している」と菅野氏は述べている。

photophoto AutoStoreに収まらないアイテムや限定された時期に大量に出荷する製品を保管する棚(左)と、今後導入予定の自動運転フォークリフト(右)[クリックで拡大]
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