JFEホールディングス、日本GLP、川崎市は、JFEスチールの製鉄所跡地を活用した次世代物流拠点プロジェクトを始動した。3000億円超を投じ、物流DXでコールドチェーンの課題を解決し、次の100年を担う新たな産業基盤を形成する。
JFEホールディングス、日本GLP、川崎市は2026年8月27日に川崎市役所(神奈川県川崎市)で共同記者会見を開き、多機能型物流施設「ALFALINK川崎扇島プロジェクト」の始動を発表した。JFEスチール東日本製鉄所(京浜地区)の跡地を活用する土地利用構想「OHGISHIMA2050」のうち、「高度物流ゾーン」を対象として次世代の冷凍冷蔵物流拠点を整備する。
同プロジェクトで日本GLPが開発する「ALFALINK川崎扇島」は、11棟の冷凍冷蔵物流施設と共用棟で構成される。敷地面積は約18万2000m2、延床面積は約37万m2、保管能力は約55万トンを見込んでおり、投資総額は3000億円以上となる計画だ。
日本GLPが展開する多機能型物流施設「ALFALINK」シリーズにおいて、冷凍冷蔵倉庫に特化した施設は今回が初となる。日本GLPは2017年に冷凍冷蔵施設に特化した専門チームを立ち上げており、今後5年間でさらに約5000億円を投資し、2031年以降には冷凍冷蔵分野の面積を約106万m2への拡大を目指す。
こうした大規模投資の背景には、冷凍冷蔵倉庫業界が直面する昨今の課題がある。冷凍食品の需要拡大や食品EC市場の成長、食品輸出額の増加に伴い、冷凍冷蔵倉庫のニーズは高まり続けているという。日本GLP 代表取締役社長の帖佐義之氏は、「首都圏の庫腹(保管スペース)は逼迫(ひっぱく)しており、東京の庫腹占有率は103%、横浜も97%と満杯に近い水準にある。これに加えて既存施設の老朽化も進んでおり、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県において築40年以上が経過した冷凍冷蔵倉庫の保管能力は約100万トンにのぼる」と指摘する。
そこで同プロジェクトでは単なる施設整備にとどまらず、関係業界との共創を通じて構造的課題に向き合う。新施設では、将来の自動運転トラックの受け入れや、倉庫内への自動化設備の導入を見据えた拡張性の高い設計を採用。また、日本GLPの約350社のパートナー企業ネットワークを活用し、個社ごとの最適化を超えた共同輸配送や、柔軟な再保管などを推進する方針だ。
扇島地区は、川崎港コンテナターミナルや羽田空港に近い位置にある。川崎市 市長の福田紀彦氏は「川崎臨海部は好立地エリアであり、高度物流拠点の形成プロジェクトが始動したことで、扇島地区の今後の土地利用転換に大きな弾みがつく」と語る。
現在は国土交通省や首都高速道路の協力の下で、道路や港湾などのインフラ整備も進めている。物流施設の一部が稼働するまでに首都高速湾岸線の扇島出入口(仮称)の供用開始を目指している。2028年ごろには水江町と東扇島をつなぐ臨港道路が開通する予定となっており、一般道のアクセスルートを2本に増やすことで、災害時の避難やBCP(事業継続計画)対応能力の向上を見込んでいるという。
また、隣接する東扇島地区は冷凍冷蔵倉庫の集積地でもある。帖佐氏は「既存の倉庫と競合するのではなく、良きパートナーとして連携し、冷凍冷蔵物流施設が価値を生む物流最適地にしたい」と説明する。同一敷地内に整備する複数の施設をエコシステムとして機能させ、東扇島地区の既存施設を含めたエリア全体での柔軟な再保管や共同配送を促進することで、持続可能かつ効率的な物流網の構築を目指していく。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Factory Automationの記事ランキング
コーナーリンク
よく読まれている編集記者コラム