ルネサスが2035年の売上高3倍増も視野に、AIで3段階の成長を目指す組み込み開発ニュース(1/2 ページ)

ルネサス エレクトロニクスが同社の概況や事業方針などについて説明。足元で半導体市場の拡大をけん引するAIに焦点を当てた事業展開を強化し、AIインフラ、フィジカルAIとSDV、「Intelligence at the Edge」の3段階で優位なポジションを構築し成長を目指す。

» 2026年06月30日 06時45分 公開
[朴尚洙MONOist]
ルネサス エレクトロニクスの柴田英利氏 ルネサス エレクトロニクスの柴田英利氏

 ルネサス エレクトロニクスは2026年6月25日、東京都内とオンラインで投資家向け説明会を開き、同社の概況や事業方針などについて説明した。足元で半導体市場の拡大をけん引するAI(人工知能)に焦点を当てた事業展開を強化し、AIインフラ、フィジカルAIとSDV(ソフトウェアデファインドビークル)、「Intelligence at the Edge」の3段階で優位なポジションを構築し成長を目指す。

 同社 代表取締役社長兼CEOの柴田英利氏は自身がトップに就任した2019年から7年間の成果を振り返った。同社の業績は2022年をピークに2025年までの3年間は売上高、営業利益率とも右肩下がりになっていたが、2025年末に底を打ち、2026年第1四半期から再び成長軌道に入っている。2026年第1四半期の実績と第2四半期の見通しを合算し2倍にした2026年通期見込みの当たる数字は、売上高が1兆5206億円、営業指標のEBITDAが5848億円で、2026年6月19日時点の株価を基にした時価総額は8兆5889億円となっている。これらを2019年と比較すると、売上高は2.1倍、EBITDAは3倍、時価総額は8.7倍に拡大している。

2019年と2026年(見込み)の業績比較 2019年と2026年(見込み)の業績比較[クリックで拡大] 出所:ルネサス エレクトロニクス

 柴田氏は「足元の需要は非常に好調で、大きなトラブルがない限りこの2026年通期の売上高見込みを上回る勢いにあると感じている。これまでいい時も悪い時もあったが、7年間全体で見ればこれだけの進捗を成し遂げることができた」と語る。

 ルネサスが中期の目標に掲げているのが、安定的に25〜30%以上の営業利益率を確保することだ。そのための重要施策として挙げたのが、2024年に買収したAltiumや、Altiumのクラウドプラットフォームを基に開発した「Renesas 365」に代表されるUX(ユーザー体験)の強化だ。「顧客価値を最大化できるように、われわれのハードウェアの力を最大限に引き出すためには広義のUXを拡充する必要がある。AI時代に入ってこのUXは等比級数的に重要になっており投資を強化していく」(柴田氏)。加えて、ERPや自社で使うAIインフラの整備、人材育成や組織の仕組みの変更などを進めているという。

ルネサスが現在進めている施策 ルネサスが現在進めている施策[クリックで拡大] 出所:ルネサス エレクトロニクス

 成長をけん引するのはAI関連の事業だ。2030年までの成長をけん引するのはAIインフラで、全社売上高の4割を稼ぎ出すようになるという。柴田氏は「AIをイネーブル(可能に)する、そのためのデバイスソリューションを提供していく」と述べる。そして、2030年以降の成長エンジンとなるのがフィジカルAIとSDVだ。「われわれの生活に近いところにAIをデプロイメント(実装)していく」(柴田氏)。

 2035年は、「Intelligence at the Edge」として社会の隅々にAIが組み込まれることを想定している。柴田氏は「当初はAIで人間の仕事が楽になることを想定していた。しかし、AIエージェントのすさまじい進化を見るとAIがわれわれのデバイスのユーザーになると発想を変えるべきで、AIエージェントのコンパニオンとしてコンプリメント(補完)するという発想が必要になる」と述べる。

AIインフラ、フィジカルAIとSDV、「Intelligence at the Edge」の3段階でAIによる成長を実現する AIインフラ、フィジカルAIとSDV、Intelligence at the Edgeの3段階でAIによる成長を実現する[クリックで拡大] 出所:ルネサス エレクトロニクス
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