直接投資の規模は、直接投資残高(ストック)や直接投資収益(フロー)として把握することが可能です。まずは、各国の直接投資残高の規模とバランスについて可視化してみましょう。図2はOECD各国の直接投資残高について対外直接投資残高の大きい順に表現したものです。
プラス側(上側)が対外直接投資残高で自国が海外に持つ資産残高を示し、マイナス側(下側)が対内直接残高で海外が自国に持つ資産残高(自国からすると負債)を示します。緑色の丸は対外直接投資残高から対内直接投資残高を差し引いた、対外直接投資の正味額(純資産)を示します。
直接投資残高の規模を見ると、圧倒的に大きいのは米国で対外直接投資残高が9.1兆ドル、対内直接投資残高が13.4兆ドルとなっています。米国は企業活動のグローバル化が進んでいるわけですが、直接投資では対内活動、対外活動共に活発であることがうかがえます。双方のバランスで見ると、対内活動が超過しており、海外から米国内への直接投資の方が多いことが分かりますね。
日本の対外直接投資残高は2.0兆ドルで、先進国の中でも多い方になります。一方で、対内直接投資残高は0.2兆ドルで、バランスが対外活動に偏っていることが分かります。このため、対外直接投資が超過している分だけ、正味の純資産額が大きく、先進国で最も対外直接投資の純資産額の大きな国となっています。
他の先進国では、対外直接投資残高と対内投資残高は相応のバランスが取れていることが読み取れます。
貿易では、多くの国で輸出と輸入が相応のバランスを取っています。同様に、直接投資でも対外直接投資と対内直接投資が相応の水準でバランスがとられるのが一般的なようです。
直接投資残高の比率を見ることで、そのバランスを可視化してみましょう。図3は対外直接投資残高に対する対内直接投資残高の比率を計算したもので、両者のバランスを確認することができます。
例えば、スロバキアやポーランドなど東欧諸国をはじめ、相対的に所得水準の低い国はおおむね100%を超えています。これは、対外直接投資よりも対内直接投資の方が超過していることを意味します。自国企業が他国に投資するよりも、他国企業が自国に投資する方が多いということです。
主要先進国でも米国や英国は100%を超え、海外からの直接投資が超過していることが分かります。イタリアで80%程度、カナダで70%弱、フランス、ドイツで60%前後ですので、これらの国は対外直接投資が超過していますが、相応の水準の対内直接投資もあることになります。このように、他の先進国では、双方向的な対外活動が進んでいる様子が分かります。
一方で、日本の対外直接投資残高比率は11%と他の先進国に比べて圧倒的に対外活動に偏っているといえます。つまり、自国企業が積極的に海外に投資をする一方で、海外からの投資はその10分の1程度で、ほとんどないということです。
これは、自国産業の空洞化を意味しているともいえます。産業の空洞化は先進国共通として認識されがちですが、統計データを見る限りでは日本特有の現象ともいえるかもしれません。
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