ファンデルワールス力が鍵、三菱電機と京大がvdW積層材料の自己復元特性を確認組み込み開発ニュース(1/2 ページ)

三菱電機は、京都大学との共同研究により、高配向性熱分解グラファイト(HOPG)が自己復元特性を持つことを世界で初めて確認したと発表した。ファンデルワールス積層材料の一種として知られるHOPGは、振動などによるエネルギーを逃がす性質があり、MEMSの除振機構などに応用できる可能性がある。

» 2026年01月28日 06時15分 公開
[朴尚洙MONOist]

 三菱電機は2026年1月27日、京都大学大学院工学研究科の固体力学研究室との共同研究により、高配向性熱分解グラファイト(HOPG)が自己復元特性を持つことを世界で初めて確認したと発表した。ファンデルワールス(vdW)積層材料の一種として知られるHOPGは、振動などによるエネルギーを逃がす性質があり、MEMS(微小電気機械システム)の除振機構などに応用できる可能性がある。自己復元特性というvdW積層材料の際立った特徴を確認した今回の成果は、MEMSをはじめ実用化に向けた第一歩になる可能性がある。

HOPGの自己復元特性に関する試験の電子顕微鏡観察像 HOPGの自己復元特性に関する試験の電子顕微鏡観察像[クリックで拡大] 出所:三菱電機

 vdW積層材料とは、単原子〜数原子の厚さを有するシート状の二次元材料が、弱い分子間力として知られる緩やかなファンデルワールス相互作用によって積層した材料である。二次元材料は、二次元に広がるシートの面内方向に高い強度を持つとともに、面外方向の変形には柔軟な性質を有している。広く知られている二次元材料にはグラフェンがある。一方、vdW積層材料は、二次元材料による面内方向の高い強度を持ちながら、二次元材料の層間にかかる緩やかなファンデルワールス相互作用によって強い異方性を持つ。

vdW積層材料とは vdW積層材料とは[クリックで拡大] 出所:三菱電機

 このvdW積層材料となるのが、二次元材料であるグラフェンが結晶方位がそろう形で積層するHOPGだ。HOPGをはじめグラフェンが積層したグラファイトは、ファンデルワールス相互作用が弱い分子間力であるため、層間で簡単に滑りが生じる。この特性が生かされているのが鉛筆の芯である。簡単に層同士がはがれるため書くことが可能になる。また、グラファイトは固体潤滑として用いられているが、これも層同士が簡単に滑ることで摩擦を低減するからだ。

グラファイトはvdW積層材料 グラファイトはvdW積層材料[クリックで拡大] 出所:三菱電機

 HOPGも、外力となる負荷が加わった場合に層間が滑ることによって破壊することなく大きく変形する特性がある。さらに、負荷を加えるのを止めると変形が元に戻る。一連の過程では、負荷によるエネルギーが層間の滑りによって吸収できていると見ることができる。この性質は、スマートフォンの高機能化や車載システムにおける自動運転/安全制御の高度化、ウェアラブルデバイスの普及などに伴って需要が拡大している加速度センサーや圧力センサーなどのMEMSの耐久性を高める振動吸収機構として利用できる可能性がある。炭素原子だけで構成されるHOPGは金属材料と比べて軽量であり、耐久性の向上とともに軽量化にもつなげられる。

HOPGはMEMSの基材とすることで耐久性を高める振動吸収機構になり得る HOPGはMEMSの基材とすることで耐久性を高める振動吸収機構になり得る[クリックで拡大] 出所:三菱電機
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