日建設計とビルポは、中型清掃ロボットと家庭用小型ロボット、大型配送ロボットなど、複数ロボットを協調運用する実証実験を行った。異なる種類かつ複数のロボットを横断的に統合管理する「RMF」を導入した成果だ。
大手設計事務所の日建設計とビルメンテナンスコンサルを行うビルポは2026年1月14日と15日、日建設計の東京オフィス(東京都千代田区)において、広いエリアを担当する中型清掃ロボット、デスク下など狭いエリアを清掃する家庭用の小型ロボット、フロア間で荷物を運ぶ大型配送ロボットなど、複数ロボットを協調運用する実証実験を行い、報道陣に公開した。異なる種類かつ複数のロボットを横断的に統合管理する「RMF(Robotics Middleware Framework)」を導入した成果だ。安価な小型ロボットを含め、一つのビル内で数十〜数百台のサービスロボットが同時に稼働する時代を見据える。
実証実験の背景や概要の解説は日建設計 エンジニアリング部門 エンジニアリングコンサルティンググループ デジタルソリューション部 アソシエイトの光田祐介氏が行った。光田氏は、主にスマートビルディングのコンサルティングを担当しており、ロボット活用はその一環とされている。
日本では少子高齢化による労働力減少が進んでおり、2030年には労働市場全体で644万人(約9%)の労働力不足が発生すると予測されている。そのため、AI(人工知能)やサービスロボットの活用と普及が期待されている。そこで経済産業省は、ロボット技術の向上だけに頼らず利用者側の業務プロセスや施設環境を見直してロボット導入を促進する取り組みである「ロボットフレンドリー」な環境の実現を支援している。例えば、わずかな段差や障害を取り除いただけでもロボットの導入は一気に容易になる。
日建設計は、今後の建物はロボットフレンドリーな機能を一定程度付加することにより、ロボットの機能は限定的で良いので安価にして全体の運用コストを下げる方向に向かうと考えている。
そのための課題を洗い出すため自社でもロボットを活用しており、2021年にはロボット交通ルールの実証、2023年にはロボットとエレベーターやフラッパーゲートなどビル設備との連携実証、2024年にはユーザーインタフェースの検証を含めたカフェデリバリー実証を行うなど、社内実証を積み重ねてきた。ビルの3階フロアから同社の東京オフィスの執務フロアに飲み物を運んだカフェデリバリーの実証実験では、54人が回答したアンケート調査において95.7%が「満足している」と回答するなど高評価だったという。
ビルの清掃や管理の現場でも、清掃や館内配送を担う人手不足が深刻化している。人件費の高騰も重なり必要な人員の確保は年々難しくなっている状況だ。そのためサービスロボットを活用したビル管理の自動化/省人化のニーズは本格的に増加し始めている。
一方、日本ではロボットを使ったサービスに対しても「きめ細かな清掃」や「スムーズな配送」といった高品質が求められる。高品質かつ経済的なサービス提供のためには、小型かつ安価な家庭用ロボットと中大型の業務用ロボットなど、一つの施設内で複数種類のロボットを同時運用する必要がある。
実際に、東京ミッドタウン八重洲では約20台、東京ポートシティ竹芝やトヨタ記念病院でも20台以上のロボットが運用されている。海外に目を移すと、韓国のスマートビル「NAVER 1974」で100台以上、シンガポールのチャンギ空港で50台以上、同じくチャンギ病院で50台以上のロボットが運用されている。
しかしながらメーカーや用途の異なるロボットを無配慮に運用すると、通路や出入口の封鎖、ロボット同士の衝突などのトラブルが発生する恐れがある。そこで今回の実証が行われた。
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