マツダは、新規事業となる「塗膜耐食性評価サービス」の立ち上げに向けた本格的な事業性検証を実施する。自社開発した塗膜耐食性評価技術が基になっており、数カ月かかる塗装部品の防錆性能の測定を数分〜数十分で定量的に評価できるなどさまざまな特徴を備えている。
マツダは2025年10月8日、オンラインで会見を開き、新規事業となる「塗膜耐食性評価サービス」の立ち上げに向けた本格的な事業性検証を実施すると発表した。自動車の塗装品質を評価するために自社で開発した塗膜耐食性評価技術が基になっており、専用試験機を用いて数カ月かかる塗装部品の防錆性能の測定を数分〜数十分で定量的に評価でき、持ち運び可能なサイズの測定器で行えるなど従来にないさまざまな特徴を備えている。現在は複数社と有償でのトライアルを実施ており、今後さらに数社との有償トライアルを経て、2026年から受託型評価サービスとして事業化する方針。将来的にはクラウドを活用したSaaS型サービスの提供も視野に入れている。
マツダは2030年以降を見据え、収益源の多角化による外部環境変化への耐性強化を目的に、現行の主力事業である自動車の製造販売に限定しない新たな事業を継続的に開発できる体制を構築するため、2024年9月に新規事業開発室を立ち上げた。
新規事業開発室では、マツダが優位的にアクセスできる2種類の資産を起点とした事業創造を主眼に置いている。1つは自動車の開発/製造で培った技術やノウハウを基に他領域に転用する「保有資産活用」で、もう1つは産業、文化、観光資源なども含めて広島、瀬戸内、中四国の資産を活用した事業を創り出す「地方資産活用」である。
これら2種類の資産を基に新規市場に進出することで、スタートアップの事業成長モデルとして知られるJカーブの谷を浅くするとともに早期に収益化を果たせるようになるという。また、新規市場に向けた新技術開発も行うことになるが、その新技術を本業に還流させられるとする。
この方針を基に今回新規事業として立ち上げるのが塗膜耐食性評価サービスである。同サービスに関わる市場規模としては、日本における塗装腐食対策費が年間2兆4900億円、グローバルでの腐食試験サービス市場が年間6776億円と見込んでいる。さらに、腐食試験サービス市場については、カーボンニュートラルやサーキュラーエコノミーへの対応、マイクロプラスチック対策、VOC(揮発性有機化合物)規制強化、建築の長寿命化ニーズ、バイオ塗料への注目などにより今後年率で6.5%成長する見込みだ。
塗装腐食対策や腐食試験で一般的に用いられているのが、大型の専用試験機を用いて行う防錆性評価である。塩水を掛けて、温度/湿度を広範囲に変動させることで腐食しやすい環境を作って錆を発生させる評価手法だが、1回の評価に数カ月かかる上に、錆の発生した状態を目視で定性的に評価しなければならないことが課題だった。
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