日産がグリーン鉄の採用と調達先を拡大、2025年度は2023年度比5倍に材料技術

日産自動車は日本市場における2025年度のグリーン鉄鋼板の使用量を2023年度比5倍に増やす。

» 2025年02月12日 12時30分 公開
[齊藤由希MONOist]

 日産自動車は2025年2月7日、日本市場における2025年度のグリーン鉄鋼板の使用量を2023年度比5倍に増やすと発表した。

 同社は2023年から神戸製鋼所の「Kobenable Steel」を採用してきた。今回、日本製鉄の「NSCarbolex Neutral」やJFEスチールの「JGreeX」、ポスコの「Carbon reduction allocated steel」も新たに採用しグリーン鉄の使用量を大幅に増やす。

 これらのグリーン鉄は製造時のCO2排出量はマスバランス方式で削減する。マスバランス方式とは、低CO2の原料とそうでない原料が混在する場合に、低CO2原料の投入量に応じて製品の一部に対して低CO2であることを割り当てる手法だ。

 日産自動車は2030年までに製品のライフサイクル全体でのCO2排出量を30%削減し、2050年までにカーボンニュートラルの実現を目指す。これに向けて素材の調達段階から脱炭素に向けた取り組みを推進している。

グリーン鉄はCEV補助金の評価対象に

 2025年度に向けてクリーンエネルギー自動車導入促進補助金(CEV補助金)では新規の加算措置が取られる。GX(グリーントランスフォーメーション)の推進に向けて、環境負荷を低減した鋼材の需要喚起のため、自動車メーカーの計画や取り組みを評価し、その結果に応じて基本の補助額とは別に最大5万円を加算する措置を新設する。

 鉄の製造で発生する多くのCO2は、高炉で鉄鉱石を還元するプロセスに由来する。グリーン鉄は、還元プロセスの原料を鉄鉱石から低炭素還元鉄に置き換えたり、高炉から電炉に切り替えたりすることでCO2排出量を削減する。鉄は車両重量の約6割を占めており、グリーン鉄の採用拡大は重要な取り組みとなる。

 ただ、脱炭素化された製鉄プロセスによるグリーン鉄は、既存の鋼材と機能面に違いがないにもかかわらず、初期の段階では従来製品よりも割高になる可能性がある。鉄鋼業の持続可能な脱炭素化はグリーン鉄の市場拡大がカギを握る。CEV補助金によるグリーン鉄の採用促進はその一環だ。

グリーン鉄の採用を5倍に増やす[クリックで拡大] 出所:日産自動車

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