キヤノンは、オフィス向け複合機や家庭用インクジェットプリンタなどのプリンティング製品において、2025年に発売する新製品の一部から、再生鉄(電炉鋼板)の採用を開始する。
キヤノンは2025年1月17日、オフィス向け複合機や家庭用インクジェットプリンタ、大判インクジェットプリンタ、商業印刷機などのプリンティング製品において、2025年に発売する新製品の一部から、再生鉄(電炉鋼板)の採用を開始すると発表した。今後、再生鉄を採用する製品を順次拡大していく。
電炉鋼板は、使用済み製品から回収した鉄スクラップを原料として電気炉(電炉)で製造するリサイクル材料だ。そのため、新規資源の投入量を減らせ、資源循環率を高める効果がある。
さらに、鉄鉱石を原料とする一般的な鋼材である高炉鋼板と比較して製造時のCO2排出量を約5分の1に抑えることができるため、脱炭素にも貢献できると注目を集めている。鉄材料は、キヤノンのプリンティング製品では樹脂材料(プラスチック)に続いて、重量比で2番目に多く使用されている材料だ。
今回の取り組みでは、電炉鋼板の加工特性を見極め、加工工程の最適化を図ることなどにより採用を実現した。
また、電炉鋼板を作るためにはプラスチックや銅など、鉄以外のものを分別した鉄スクラップを必要とする。グループ会社のキヤノンエコロジーインダストリーでは、回収した使用済み複合機から鉄スクラップを高精度に分別し、純度を高めた鉄スクラップを電炉鉄鋼メーカーである東京製鐵に売却しており、2020年4月から2024年3月までの合計で、5000トン以上を納入している。
キヤノングループでは東京製鐵に鉄スクラップを提供するとともに、東京製鐵が製造した電炉鋼板を活用し、環境に配慮した製品の開発/設計、生産を行うことで、資源の循環および有効活用を促進していく。
キヤノンにおけるデジタルプリンティング事業の資源循環率は、プリンティング事業の販売総重量に占める再生材料や再生商品の割合を示す数値で、2022年度の実績は約16%で、2025年に20%、2030年に50%を目標に設定している。
グローバル各地域の再生拠点では、資源循環率を高めるために、再生資源(鉄、非鉄、プラスチックなど)の分別精度の向上や再生複合機での再利用部品率の向上、再生材(クローズ)の種類と生産量の増加などに取り組んでいる。リユース/リサイクルの向上活動により、2023年の資源循環率は約17%となった。
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