ロシア製の「Kaspersky OS」はセキュリティ重視も西側での普及は見通せずリアルタイムOS列伝(54)(2/3 ページ)

» 2025年01月06日 08時00分 公開
[大原雄介MONOist]

Kaspersky OS搭載スマートフォンを開発へ

 話をKaspersky OSに戻す。2012年11月からスタートした開発は、2016年8月に完成し、最初の搭載製品が同じくロシアのKraftwayのルーターとなったことが公表されている。ただ、この時点ではまだ一般提供は開始されていない。一般向けにリリースされたのは2017年2月のことだ(発表文のGoogle Translateによる英語版はこちら)。

 この後、2019年にはこのKaspersky OSをベースとしたモバイル向けOSの開発を行っていることが報じられた。この時の予定では2019年中に製品がリリース予定であり、コンシューマー向けと政府機関など向けの2種類が提供される予定としていたが、スケジュールはもう少し伸びることになった。

 2021年にはKaspersky OSを搭載した商用アプライアンスであるKaspelsky IoT Secure Gatewayが発売されている(図3)。そして2021年11月には、オープンアクセス用に設計された、教育向け無料版OSであるKaspersky OS Community Editionをリリースした。現在このCommunity EditionはVersion 1.2がリリースされている

図3 図3 Kaspelsky IoT Secure Gateway。Pentium N4200に8GBメモリ/32GBのSSD、GbEポート×2を搭載する通常のNUC的な構成[クリックで拡大] 出所:Kaspelsky

 2023年にはKaspersky OSベースのスマートフォンの開発をアナウンス(発表文のGoogle Translateによる英語版はこちら)したが、これはKaspersky OSそのものなのか、それとも2019年にアナウンスがあったモバイル向けOSの方なのかは現時点ではっきりしない(ハードウェアは同じくロシアのAquariusによって開発された)。さらに2024年4月には、そのKaspersky OSベースのスマートフォン用のアプリケーションストアも開設されたことが報じられた(発表文のGoogle Translateによる英語版はこちら)。

 このあたりは、恐らくはウクライナ戦争のために西側のスマートフォン類が急激に入手できなくなっている&入手できてもGoogleのサポートがないなど使えなくなっていることへの対応かと思われる。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.