日立製作所がコネクティブインダストリーズ(CI)セクターにおける「2024中期経営計画(2024中計)」の進捗状況と次期中計に向けた新たな成長戦略などについて説明。2024年度以降は、半導体/バッテリー製造、バイオ関連などの高成長分野に投資を集中して新たな成長軌道を描いていく方針だ。
日立製作所(以下、日立)は2024年6月11日、オンラインで開催した投資家向け説明会「Hitachi Investor Day 2024」において、コネクティブインダストリーズ(CI)セクターにおける2022〜2024年度の中期経営計画「2024中期経営計画(2024中計)」の進捗状況と次期中計に向けた新たな成長戦略などについて説明した。2024年度以降は、半導体/バッテリー製造、バイオ関連などの高成長分野に投資を集中して新たな成長軌道を描き、2024中計における売上高平均成長率5%、利益目標とするAdjusted EBITDA率11.5%、Lumada売上高比率35%という数字を、将来的には売上高平均成長率7〜9%、Adjusted EBITDA率13〜15%、Lumada売上高比率45%にまで引き上げたい考えだ。
Hitachi Investor Day 2024で、CIセクターが担当するコネクティブ戦略について説明したのは、2024年4月1日付で日立 代表執行役 執行役副社長 コネクティブインダストリーズ事業統括本部長に就任した阿部淳氏である。阿部氏は入社後にデータベースソフトウェア開発やデータストレージ事業に従事した後、制御プラットフォーム事業や産業/流通事業などを手掛けるなど、日立が得意とするITとOTの両分野でキャリアを積んできた。また、米国のHitachi Vantaraの経営や、JR Automation/GlobalLogic買収の経営統合も指揮してきた。「入社以来、一貫してデータの扱いと顧客価値の提供を実践してきた」(同氏)という。
CIセクターは、旧インダトリーセクター傘下にあったインダストリアルデジタルBU、水・環境BU、インダトリアルプロダクツ事業に加えて、昇降機などを手掛けるビルシステムBU、白物家電や空調機器などを扱う日立グローバルライフソリューションズ、半導体製造装置や計測/分析装置を展開する日立ハイテクという6つの部門から構成されている。2024年度の業績見通しでは、これら6つの部門全てがAdjusted EBITDA率10%超を達成する見通しだ。阿部氏は「一体運営の強化による部門間シナジーの創生や、ビルシステムBUで中国不動産不況に対応するリスクマネジメント、2024年後半から見込まれる半導体市場の急回復に備えた投資などで、2024中計は順調に進捗している」と語る。
前任の青木優和氏からCIセクタートップを引き継いだ阿部氏は、順調に進捗してきた2024中計の取り組みを基盤として新たな成長機会の獲得を目指していく考えだ。「DX(デジタルトランスフォーメーション)、GX(グリーントランスフォーメーション)がもたらす産業分野の高成長市場を捉えていく。ファクトリー、ラボラトリー、ビルディングをターゲット市場として、それらと関わる製造分野、ヘルスケア分野、サービス分野にCIセクターが持つ優位性のある技術を提供していく」(阿部氏)。
この成長機会の獲得に向けて軸になるのがLumadaだ。Lumadaのサイクルは「コネクテッドプロダクト」「マネージドサービス」「デジタルエンジニアリング」「システムインテグレーション」の4象限から構成されている。CIセクターは、もともとの強みとするコネクテッドプロダクトとマネージドサービスに対応する産業系プロダクト事業の強化を進めながら、デジタルエンジニアリングとシステムインテグレーションで構成されるインテグレーション事業を新たな成長機会に合わせて強化する。阿部氏は「産業系プロダクト事業とインテグレーション事業の強化を両輪としながら、デジタルシステム&サービス(DSS)セクター、グリーンエナジー&モビリティ(GEM)セクターとのシナジーを拡大し、Lumada事業を拡大していく」と述べる。
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