生産回復が最も顕著に表れたのがホンダだ。10月のグローバル生産台数は、前年同月比22.8%増の40万5276台と2カ月連続のプラスだった。半導体の供給改善の効果が表れた。中でも国内生産は、前年が半導体不足により稼働率が大幅に低下していたこともあり、同51.2%増の7万3939台と3カ月連続で前年実績を上回った。8社の中で最大の伸び率となった。このため輸出も同2倍と大きく伸長した。
国内販売では、10月に新型を投入した量販車種の「N-BOX」が好調で、11月の国内販売では全車種の中で唯一の2万台超えだった。また「ヴェゼル」も前年同月比66.2%増と人気車種がけん引した。なお、納期も着実に短縮しており、受注停止の「シビックタイプR」を除くと、「ZR-V」のハイブリッド車(HEV)の9カ月が最も長く、「ステップワゴン」と「フィット」のガソリン車が半年待ち、それ以外は2カ月前後と、正常化に近づいている。
海外生産は、前年同月比17.9%増の33万1337台と、2カ月連続で増加した。けん引したのは北米で、販売好調と半導体の供給改善が重なり同52.9%増と10カ月連続のプラス。一方、厳しいのが中国で、値引き合戦など販売競争の激化により生産調整を余儀なくされた結果、同12.3%減と5カ月連続のマイナス。アジアトータルでも同4.0%減と2カ月ぶりに減少した。
日産自動車の10月のグローバル生産は、前年同月比4.3%増の31万480台と4カ月ぶりにプラスへ転じた。ただ、コロナ禍前の2019年10月と比較すると約3割減の実績にとどまっている。このうち国内生産は回復基調が続いており、同14.7%増の6万7041台と18カ月連続のプラス。「エクストレイル」や「セレナ」といった国内市場向け新型車が好調な他、輸出も同5.8%増とプラスを確保した。
海外生産は、前年同月比1.7%増の24万3439台と5カ月ぶりに前年実績を上回った。北米が好調で、メキシコは同2.1倍と大きく伸長し11カ月連続で増加。米国は0.4%増と微増で2カ月ぶりのプラスだった。英国も同52.1%増と好調が続いている。その半面、厳しいのが中国で、同35.6%減と低迷。6カ月連続のマイナスだった。
スズキの10月のグローバル生産は、前年同月比11.1%増の29万7112台と2カ月ぶりのプラスだった。世界生産の6割を占めるインドが同13.0%増と2カ月ぶりに増加したことが大きい。ただ、パキスタンの低迷などもあり、インド以外の海外生産は同9.8%減と8カ月連続で減少している。インドの増加により海外生産合計では同9.6%増の20万1669台と5カ月ぶりにプラスへ転じた。
国内生産は回復基調が続いており、前年同月比14.6%増の9万5443台と8カ月連続で増加した。輸出も欧州向けが増加し、同47.0%増と高い伸びを見せた。国内最量販車種の「スペーシア」が11月にフルモデルチェンジ。同じく新型に切り替わったN-BOXと合わせて注目を集めている。11月の新車販売台数でもスペーシアは同10.9%増と好調で、さらなる販売増が期待される。また、主力モデルの「スイフト」も12月に新型を投入しており、半導体供給の回復と合わせて、国内生産はしばらく高水準で推移することが予測される。
回復の波に乗れていないのがダイハツだ。10月のグローバル生産台数は、前年同月比1.5%減の15万7918台と2カ月連続のマイナス。国内生産が振るわず、同7.1%減の8万298台と3カ月ぶりのマイナスだった。これは直前の8〜9月が、仕入れ先の工場火災による稼働停止の挽回生産を実施して高水準の生産だったことや、前年に新型を投入した「ムーヴキャンバス」の反動減が発生。さらに「ロッキー/ライズ(トヨタ向けOEM)」のHEVで発覚したポール側面衝突試験の認証手続き不正による生産停止が長引いていることも影響した。
海外生産は、前年同月比5.2%増の7万7620台と3カ月ぶりのプラス。マレーシアが同52.8%増と大幅増だったが、インドネシアが好調だった前年の反動などにより同16.4%減と低迷した。
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