NECは、DX事業についての説明会を開催し、共通基盤である「NEC Digital Platform(NDP)」を軸にAI技術などを組み合わせたデジタルツインの実現で差別化を進めていく方針を示した。
NECは2023年8月30日、DX(デジタルトランスフォーメーション)事業についての説明会を開催。共通基盤である「NEC Digital Platform(NDP)」を軸にAI(人工知能)技術などを組み合わせたデジタルツインの実現で差別化を進めていく方針を示した。
NECではDXに関する「コアDX事業」を成長事業として位置付け、中期経営計画の最終年度となる2025年度までに5700億円の売上高の達成を目指している。2022年度は2401億円の売上高となり黒字化を達成している。NEC 取締役 代表執行役社長 兼 CEOの森田隆之氏は「コアDX事業拡大のためにまだまだ投資を進めているフェーズで2021年度までは赤字だったが、2022年度は黒字化を達成し、ようやく収益をけん引する事業へと成長してきた。中期経営戦略に対する原動力になってきている」と手応えについて語っている。
DXを推進する組織や基盤強化も進めてきた。2019年には、DX専任組織の立ち上げとプラットフォーム構築、DXに関するオファリング(価値提供の集合体)提供を開始した他、2020年にはグループ企業であるアビームコンサルティングとの連携により上流からのアプローチを強化。さらに2021年にはMicrosoftやAWS、Oracleとの協業でグローバルアライアンスを確保した。2022年には構築してきた基盤であるNDPへの機能集約を行い、2023年4月からはDXに関する提案を一元的に行う組織としてデジタルプラットフォームビジネスユニットを新設した。全社横断組織としてDXを加速する製品やサービスの企画、開発、提供を一元的に行っていく。
これらを支える基盤がNDPだ。「単純にDXを担う技術だけを示すのでなく、人材やナレッジ、テクノロジーを組み合わせたプラットフォームとしていることが特徴だ」と森田氏は強調する。
こうした基盤や体制を生かし、NECでは「ビジネスモデル」「テクノロジー」「組織、人材」の3つの軸で強化を進める。
ビジネスモデルでは、新たに発足したデジタルプラットフォームビジネスユニットなどの体制を生かし、コンサルティング起点で戦略構想策定から実装、運用まで顧客企業のDXを一元的に支えられるようにしていく。また、顧客のデータドリブン型ビジネスモデル変革をさらに進めるために2023年8月28日には新たにプロセスマイニングを展開するCelonisと戦略的パートナーシップを結んだ。NEC 執行役 Corporate EVP 兼 CDOの吉崎敏文氏は「データを集約してそれをどう生かすかを考えた場合、日本の改善活動に近い、プロセスマイニングによる提案は大きな価値を持つ」と語っている。
さらに、テクノロジー面での差別化の核として位置付けているのがAI(人工知能)だ。画像関連などのAI技術の活用などを推進する他、2023年7月6日には、日本市場向けの生成AIを開発し「NEC Generative AI Service」としてサービス提供を開始した。社内での生成AIの活用も進んでおり、社員2万5000人が1日約1万回以上利用している。生成AIを活用したコンタクトセンター業務では工数を75%削減できた例もあるという。さらに、社内セキュリティ業務に生成をAIを活用しCSIRT(Computer Security Incident Response Team)業務の省力化なども進めている。
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