富士通の携帯電話端末部門が前身のFCNTは、東京地方裁判所に民事再生手続開始の申し立てを行ったことを発表した。
FCNTは2023年5月30日、東京地方裁判所に民事再生手続開始の申し立てを行ったことを発表した。
FCNTは、富士通の携帯電話端末部門を前身としており、「arrows」ブランドをはじめとするスマートフォン端末の企画、開発、販売、修理およびシニア向けSNSサービスなどを提供してきた。
現在はREINOWAグループの一員として事業を運営していた。しかし、スマートフォン端末市場が成熟し売上高が伸び悩む中で、円安の進行や世界的な半導体不足の影響、原材料コストの急騰などがあり、グループ全体の資金繰りが悪化。その中で、複数の事業会社から、民事再生手続を取ることを前提とし、シニア向けSNSサービスなどを提供するサービス事業について、承継や支援を検討するスポンサー支援の意向表明を受けたことから、民事再生手続に踏み切ったという。
一方で、スマートフォン端末の製造、販売事業については、現時点において具体的なスポンサー支援の意向表明がなく、事業を停止する。また修理、アフターサービス事業についても現在スポンサー支援の話はなく、事業の一時停止を行うとしている。今後のスポンサー支援の状況次第では、これらの事業の再開の可能性もあるという。
なお、FCNTの民事再生手続きと同時に、同じグループのREINOWAホールディングス、ジャパン・イーエム・ソリューションズ(JEMS)も民事再生手続を行っている。
スマートフォン端末事業については、市場の成熟が一層進んでおり、今後も大きな市場拡大が望めないことから、2023年5月15日には京セラが民生向けスマートフォン事業の終息を発表している。合わせて、バルミューダもスマートフォン事業撤退を発表(京セラが端末を製造)しており、さらなる淘汰が進んでいる状況だ。
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