業務効率化の道具箱(9)VBAで自動集計アプリを作ってみよう山浦恒央の“くみこみ”な話(162)(3/3 ページ)

» 2023年02月21日 07時00分 公開
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4.2.3 プログラムの記述

 次は、集計ボタンを押したとき、集計データ.csvを開き、自動集計アプリにコピペする処理を記述します(リスト1)。

Option Explicit
'集計ボタンを押したときに動作する
Sub ボタン1_Click()
    Dim dataSheet As Worksheet      'ベースのデータシート
    Dim copyWb As Workbook          '外部データのワークブック
    Dim copySheet As Worksheet      '自動集計アプリのワークシート
    Dim rowMax As Long              '最大行数
    Dim File As Variant
 
    Set dataSheet = Sheets("Sheet1")
      
    'CSVファイルを開く
    File = Application.GetOpenFilename( _
        FileFilter:="CSVファイル,*.csv,全てのファイル,*.*", _
        FilterIndex:=1)
        
    'キャンセルを押した場合はプログラム終了
    If File = False Then '
        MsgBox "プログラムを終了します"
        Exit Sub
    End If
    
    '外部データのファイルを開く
    Set copyWb = Workbooks.Open(Filename:=File)
    '外部データのシートを設定
    Set copySheet = copyWb.Worksheets(1)
    
     '外部データの最大列数を取得
    rowMax = copySheet.Cells(Rows.Count, 1).End(xlUp).Row
    
    'A1からB列の最大行数分のデータをコピーする
    copySheet.Range("A1:B" & rowMax).Copy
    
    '自動集計アプリにデータを貼り付ける
    dataSheet.Cells(1, 1).PasteSpecial xlPasteValues
    
    ' 開いた外部データをクローズする
    copyWb.Close False
End Sub
リスト1 自動集計アプリのプログラム

 リスト1は、集計アプリのプログラムです。これでコピペ作業が実行できます。なお、エラー処理など考えると不十分なので、あくまでも参考例としてお考えください。

4.2.4 実行結果

 実行結果を確認してみましょう。

(1)集計ボタンを押下

 先ほど作成した「集計」ボタンを押下します。すると、図11のファイルダイアログが開きます。

ファイルダイアログ 図11 ファイルダイアログ

 図11のファイルダイアログで、「集計データ.csv」を選択し、「開く(O)」を選択します。選択後、裏側でVBAが一瞬だけ動作します。

(2)集計アプリを確認

 集計アプリを確認してみましょう(図12)。

実行結果 図12 実行結果(自動集計アプリ.xlsm)

 図12のように集計データ.csvが自動でコピーされていることが分かります。これで、外部のCSVデータを集計アプリにコピペすることができました。

5.終わりに

 今回は、自作ツールの例題として、CSVファイルをコピペする自動集計アプリを作成しました。自作ツールを作成することで、定型的な業務が効率化できると、定時に帰りやすくなります。

 組み込み系の開発でも、データ整理作業はテスト工程でたくさんあります。例えば、機器のログをCSVで出力し、評価用のExcelに貼り付け、テスト結果を判定する場合です。ほとんどの人は、オリジナルの集計ツールを作っていますが、ごくたまに手作業でデータの転記作業をやっている人を見かけます。もし、より業務を効率化したいと考えるならば、何らかの自作ツールを使用してみてはいかがでしょうか。

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【 筆者紹介 】
山浦 恒央(やまうら つねお)

東海大学 大学院 組込み技術研究科 非常勤講師(工学博士)


1977年、日立ソフトウェアエンジニアリングに入社、2006年より、東海大学情報理工学部ソフトウェア開発工学科助教授、2007年より、同大学大学院組込み技術研究科准教授、2016年より非常勤講師。

主な著書・訳書は、「Advances in Computers」 (Academic Press社、共著)、「ピープルウエア 第2版」「ソフトウェアテスト技法」「実践的プログラムテスト入門」「デスマーチ 第2版」「ソフトウエア開発プロフェッショナル」(以上、日経BP社、共訳)、「ソフトウエア開発 55の真実と10のウソ」「初めて学ぶソフトウエアメトリクス」(以上、日経BP社、翻訳)。


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