パナソニック ホールディングスは2022年12月7日、電気安全環境研究所から電波法に基づく「特任外部試験所」の認定を取得したと発表した。同認定の取得は「国内初」の事例。これを受けてパナソニック ホールディングスは、2023年1月11日から電波法の技適マーク取得のための「特任試験サービス」を開始する予定だ。
パナソニック ホールディングスは2022年12月7日、電気安全環境研究所(JET)から電波法に基づく「特任外部試験所」の認定を取得したと発表した。同認定の取得は「国内初」(パナソニック ホールディングス)の事例だという。これを受けてパナソニック ホールディングスは、2023年1月11日から電波法の技適マーク取得のための「特任試験サービス」を開始する予定だ。
特任外部試験所の認定を取得したのは、パナソニックグループで製品評価試験などを担うプロダクト解析センターの篠山EMCサイト(兵庫県丹波篠山市)である。篠山EMCサイトは国際規格のISO/IEC 17025の認定を取得しており、電子機器から発生する不要なノイズの抑制と、電子機器が周辺からの電磁的な影響を受けないことを検証するEMC(Electromagnetic Compatibility)試験所として活動している。これまでに家電や医療機器、車載機器など幅広い分野の機器の試験を行ってきた。
同サイトは無線評価技術も有しており、法規対応が求められる電波法の申請に向けた試験サービスと、実空間を想定した機器使用時の電波の伝搬度合いを解析評価するサービスの2つを展開してきた。前者の電波法の申請対応では、電波の強度が一定以下である微弱無線やIH調理機などの高周波利用設備を対象に行ってきた。今回の認定取得によって、技適マークの取得に向けた特性試験サービスも新たに展開することが可能となる。
技適マークを取得した企業は、一部の無線設備に関する無線局免許手続きを簡素化できる。同マークの付与は本来、JETなど総務省から認められた登録証明機関から、技術基準や設計規格値などを確認する特性試験などの審査を受けることが必須だ。このため無線機能を持つ電子機器を扱うメーカーは、申請のたびに登録証明機関に依頼して、認証取得を行ってきた。
しかし昨今、IoT(モノのインターネット)デバイスの普及に伴い、BluetoothやWi-Fiなど2.4GHz帯と5GHz帯の申請件数が年々増加傾向にある。さらに技適マークの取得は設計段階での事前見当も含めて数回の審査が必要だ。登録証明機関の数は限られており、このために開発リードタイムが長くなるという課題が生じていた。
今回の特性試験サービスは、こうした問題の解決に寄与する可能性がある。パナソニックグループ内で登録証明機関と同等の試験環境を用意して特性試験を実施、測定結果をJETが開発した専用ソフトウェアで記録して、その適合性審査をJETで行う。パナソニックグループとしては社内で試験が実施できるため、より計画的かつ効率的な無線局の開設を目指せるようになるという。
さらにパナソニック ホールディングス プロダクト解析センター 安全・EMCソリューション部 EMC設計課の石橋直人氏は「設計段階での特性試験の結果のフィードバックや、設計者の立ち合い試験など、従来の登録証明機関への依頼では難しかったことも実現できるようになる」と語った。
今回の認定について、JET 東京事業所長の渡邊靖之氏は「認定はパナソニックが持つ(篠山EMCサイトの)設備や人員の力量などを確認した上で行った。今後、他にも特任外部試験所を増やすことは考えているが、当然、認定のための一定以上の要件を満たしている必要がある」とコメントした。
特性試験サービスは開始当初は2.4GHz帯の試験を対象とし、2023年の春頃をめどに5GHz帯についても対応する予定だという。その他の帯域については、顧客のニーズを見極めながら検討していく。パナソニックグループ内だけでなく、外部企業からの試験依頼も受け付ける。
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