日立製作所は2022年12月6日、企業間取引を支援するSaaS型のクラウドサービス「TWX-21」について、サプライチェーン業務を支援するプラットフォームとしてサービス拡張などのリニューアルを実施すると発表した。第1弾として、需要変動に応じた計画業務の自動化を可能にする「サプライチェーン最適化サービス」を展開する。
日立製作所は2022年12月6日、企業間取引を支援するSaaS型のクラウドサービス「TWX-21」について、サプライチェーン業務を支援するプラットフォームとしてサービス拡張などのリニューアルを実施すると発表した。第1弾として、需要変動に応じた計画業務の自動化を可能にする「サプライチェーン最適化サービス」を展開する。
TWX-21は受発注などの調達購買業務を中心とした企業間取引向けのクラウドサービスで、これまでに世界30カ国で主に製造業など約8万5000社が導入している。提供開始から25周年を迎えた節目に合わせて、サービス体系をリニューアルすることになった。
リニューアルを経て、企業間取引業務の支援で培ったデータとノウハウを活用して、サプライチェーン全体のステークホルダーに新たな価値を提供することを目指す。具体的には従来機能と新機能を統合して分類し、「ソーシングサービス」「プロキュアメントサービス」「サプライチェーンコラボレーションサービス」「データ連携サービス」「サプライチェーン最適化サービス」の5つのサービスを顧客の状況に合わせて提供していく。
サプライチェーン最適化サービスは市況変化などを参照しながらで長期/短期での各種計画を自動立案して、サプライチェーン上の問題を解決する。市況などの環境変動によってサプライチェーンにどのような影響が生じ得るかを、シミュレーションを通じて提示していく。
需要変化に応じて倉庫や工場での出荷指示や生産計画、調達計画を自動立案する。サプライチェーンに異常が発生した際の迅速な意思決定と計画の実行を支援できる。以前からTWX-21はロジスティクスや生産計画の立案までをカバーしていたが、今回、新たに調達計画まで機能の範囲を広げた。従来、熟練者が制約条件などを考慮しつつ個別に対応していた計画業務を高速化かつ自動化するとともに、適切な在庫水準の算出なども行える。
日立製作所の担当者は「将来的にはサプライチェーンをE2E(End to End)で可視化して、ボトルネックや納品遅延などを防止し、業務のムリ・ムラ・ムダをできるだけ排除できるようにしたい」と語った。
リニューアルに踏み切った背景にはサプライチェーン業務を取り巻く市場や社会環境の変化といった問題がある。製造業は地政学的リスクや災害へのレジリエンス強化に加えて、カーボンニュートラルをはじめとする各種ESG(環境、社会、ガバナンス)対策の実施が求められている。さらに消費者ニーズも多様化し、需要予測も困難になりつつある。同担当者は「従来のQCDを重視した調達だけでなく、ESGを考慮したグリーン調達をサプライヤーやパートナー選定が求めるようになっている」と語り、データに基づくESGリスクを考慮した機能追加を今後進めていくとした。
ESGリスクへの対応機能としては、サプライチェーン上のカーボンニュートラル実現を支援する機能などを構想する。TWX-21の企業間取引の基盤という特徴を生かして、サプライヤー企業や外部評価機関からのデータ提供などを基に算定を行う。企業によって異なるGHG(温室効果ガス)におけるスコープ3の対応段階に合わせる形でCO2排出量を算定する仕組みを提供する。実測値である1次データがない場合は、購入金額などから排出量を類推する。
データの算定形式はCO2排出量の算定フォーマットとして検討されている「Pathfinder Framework」に準拠する計画だ。さらにCO2排出量の算定データは日立製作所が展開する「EcoAssist-LCA」に集約、分析して経営判断にも生かせるようにすることも検討しているという。
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