三菱電機は2022年11月30日、産業メカトロニクス製作所(愛知県名古屋市)で記者会見を開き、2次元レーザー加工機の最上位モデル「GX-Fシリーズ」の新たな提供形態となる「GX-F Evernext Strategy」について説明した。合わせて、GX-Fシリーズに自社製12kW発振器を搭載した「ML3015GX-F120」「ML4020GX-F120」を追加し、同年12月1日から販売することを発表した。
三菱電機は2022年11月30日、産業メカトロニクス製作所(愛知県名古屋市)で記者会見を開き、2次元レーザー加工機の最上位モデル「GX-Fシリーズ」の新たな提供形態となる「GX-F Evernext Strategy」について説明した。合わせて、GX-Fシリーズに自社製12kW発振器を搭載した「ML3015GX-F120」「ML4020GX-F120」を追加し、同年12月1日から販売することを発表した。
1979年に日本で初めてCO22次元レーザー加工機を製品化した三菱電機が、これまでにないソリューションを打ち出した。GX-F Evernext Strategyは、従来のようにユーザーが設備投資時に新たな機能が搭載された新製品本体を購入するのではなく、ユーザーが既に保有している、もしくはこれから購入するGX-Fシリーズの機体に、三菱電機が毎年開発する新技術を随時アップグレードできるようにするものだ。
三菱電機 産業メカトロニクス事業部 メカトロ事業推進部 部長の川田明宏氏は「昨今、モノづくりを取りまく環境の変化が激しく、先行きの不透明感も強まっている。一方、カーボンニュートラル、サステナビリティの取り組みは待ったなしだ。GX-F Evernext Strategyを通じて、毎年求める機能のアップグレード、システム拡張が可能になり、生産性向上、市場競争力の強化のみならずレーザー加工機を無駄なく最大限に活用でき、サステナビリティにも貢献できると考えている」と語る。
Evernextは、この新たな戦略のために生み出した、Ever(常に、いつもの意)とNext(次に、の意)を合わせた造語となっている。三菱電機 産業メカトロニクス製作所 レーザ製造部 部長の佐藤東洋司氏は「常に次に進んでいく、それはわれわれが目指す“止まらない進化”につながる。このような決意を込めて、新たな戦略をレーザー加工機に適用していく」と話す。
2023年度の新技術としては、加工中の光や音をセンシングし、三菱電機のAI(人工知能)技術「Maisart」で加工状態を判断し、加工条件を自動調整する機能をバージョンアップした「AIアシスト2.0」を開発した。
「複数のAIを同時進行で処理するなどAIのアルゴリズムを見直した」(三菱電機 産業メカトロニクス製作所 レーザ製造部 次長の横井茂氏)ことで加工状態の良否判定の精度が向上した他、AIの良否判定に基づいて加工速度をリアルタイムに調整する機能を新たに盛り込んだ。「常に良加工になるよう加工速度を調整するので、不良がなくなるだけでなく、より早く動かせることにもなるため生産性が向上する」(横井氏)。また、加工ヘッド内の温度センサーの変化、状態予測から焦点もリアルタイムに調整する。
新開発の厚板切断技術「Mz Power」も投入する。
鉄の厚い板や表面がさびた板、高炉メーカーで作られた高炉材はレーザー加工機では切りづらく、これまではガス溶断やプラズマ溶断を用いていた。Mz Powerは、GX-Fシリーズの発振器、加工ヘッド、制御機能を用いてビーム特性、加工に関わるパラメータを厚板切断に最適化することで、高炉材などに対しても安定した加工を実現、レーザー加工機1台でより幅広い加工が可能になる。「これまでレーザー加工機の購入層ではなかったユーザーを狙っていく」(横井氏)。粉じんや廃液の処理もなく、騒音も出ないため、社会課題の解決につながる。
また、切りにくい材料でも切り抜く1つ1つの製品の隙間を従来より縮めることができ、1枚の板から取れる製品数が増えて歩留まりの向上にもなる。
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