AWSがSaaSベースのSCMソリューション「AWS Supply Chain」を発表:サプライチェーン改革
Amazon Web Services(AWS)は、ユーザーイベント「AWS re:Invent 2022」の基調講演において、SaaSベースのSCM(サプライチェーンマネジメント)ソリューション「AWS Supply Chain」を発表した。
Amazon Web Services(AWS)は2022年11月29日(現地時間)、ユーザーイベント「AWS re:Invent 2022」の基調講演において、SaaSベースのSCM(サプライチェーンマネジメント)ソリューション「AWS Supply Chain」を発表した。同日から米国東部と米国西部、欧州のリージョンでプレビュー版が公開されており、近日中に他リージョンでも提供される予定だ。
「AWS Supply Chain」を紹介するAWSのアダム・セリプスキー氏[クリックで拡大]
AWS Supply Chainは、グローバルECサイトであるアマゾン(Amazon.com)の30年近い物流ネットワークの経験をベースに、AWSの機能である統合データレイク、機械学習による洞察、推奨アクション、アプリケーション内コラボレーション機能などを組み合わせることでサプライチェーンの耐障害性を向上させられるという。
AWS Supply Chainは内蔵コネクターを用いて、SAPに代表されるERPシステムやSCMシステムなどと連携してデータを抽出/収集し、統合的にサプライチェーンを把握するためのデータレイクを簡単に設定することができる。そして、需要計画や在庫管理の担当者に対して、各拠点における現在の在庫数量を強調表示するなどしてデータをリアルタイムに視覚化するとともに、機械学習ベースの解析によって得られた在庫不足や配送の遅延に関する予測を示すことでリスク対策を取りやすくする。また、これらのリスクを解決するための拠点間の在庫移動などの推奨アクションも提示することが可能だ。さらに、AWS Supply Chainに内蔵されたチャットやメッセージングの機能によって、担当者化のコラボレーションを円滑に進める仕組みも用意している。
「AWS Supply Chain」の機能イメージ[クリックで拡大] 出所:AWS
AWS CEOのアダム・セリプスキー(Adam Selipsky)氏は「コロナ禍以降のこの2年間でサプライチェーンはより複雑さを増している。この問題を解決すべく、アマゾンの物流ネットワークの経験と、AWSのインフラとしてのさまざまな機能を融合したのがAWS Supply Chainだ」と語る。
AWS Supply Chainのニュースリリースではアクセンチュアと連携が示されており、アクセンチュアは同社の業務運用プラットフォーム「SynOps」などと組み合わせて提案を進めていく方針だ。この他、キッチン用品などを手掛けるライフタイムブランズ(Lifetime Brands)や調理器具を扱うトレーガーグリル(Traeger Grills)、アマゾン傘下のホールフーズ・マーケット(Whole Foods Market)などがコメントを寄せている。
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