パナソニック ホールディングス(パナソニックHD)が2022年度(2023年3月期)第2四半期(7〜9月)の連結業績を発表。売上高が前年同期比20%増の2兆900億円、調整後営業利益が同1億円減の802億円、営業利益が同11%減の861億円、当期純利益が24%減の584億円の増収減益となった。
パナソニック ホールディングス(以下、パナソニックHD)は2022年10月31日、オンラインで会見を開き、2022年度(2023年3月期)第2四半期(7〜9月)の連結業績を発表した。売上高が前年同期比20%増の2兆900億円、調整後営業利益が同1億円減の802億円、営業利益が同11%減の861億円、当期純利益が24%減の584億円の増収減益となった。円安による為替影響に加え、くらし事業、オートモーティブ、エナジーの販売が増加し、買収したブルーヨンダー(Blue Yonder)の連結化の効果もあり増収となったが、調整後営業利益は増販益と成長に向けた固定費の増加が相殺、原材料高騰の影響も価格改定でカバーするなどして前年同期並みを維持した。営業利益と当期純利益は、前年にブルーヨンダー買収に伴う既存持ち分の再評価益を計上した影響で減益となっている。
2022年度の通期業績見通しは、売上高が前回予想比3000億円増の8兆2000億円、調整後営業利益が同400億円減の3400億円、営業利益が同400億円減の3200億円、当期純利益が250億円減の2350億円で増収減益。売上高は為替影響で上方修正するものの、為替影響を除くと前回予想比2000億円減の7兆7000億円となる。利益面では、景気減速による一部顧客の投資判断先送りとSaaS関連の開発投資を加速するブルーヨンダーの影響が大きいコネクト、第1四半期の上海ロックダウンによる減販損を下期にカバーしきれないオートモーティブ、第2四半期から情報通信インフラやICT機器の市場悪化による減販損が起きているインダストリーが押し下げ要因となり下方修正することとなった。
パナソニックHD 代表取締役 副社長執行役員 グループCFOの梅田博和氏は「今後の景気減速懸念はあるものの、上海ロックダウンの影響を強く受けた2022年度第1四半期をボトムに業績は回復傾向にある」と語る。
会見では、同日にパナソニック エナジーが発表した米国カンザス州の車載電池新工場の建設についても言及があった。
カンザス新工場ではテスラ(Tesla)に供給している車載円筒形リチウムイオン電池のうち「2170セル」を生産する。2022年11月に建設を開始し、2024年度内には生産を開始する計画だ。初期生産能力は年間約30GWhである。現在、ネバダ州の「ギガファクトリー」を中核とする車載円筒形リチウムイオン電池の生産量は年間約50GWhなので、2024年度には1.6倍の年間約80GWhに増強される見通しだ。「顧客からの強い要望に合わせて、2170セルの新たな生産ラインの垂直立ち上げに取り組む。通期業績見通しではそのためのコストも計上している」(梅田氏)という。
なお、カンザス新工場への投資についてはこれまでの発表で約40億米ドルが想定されている。また、米国で成立した「IRA(インフレ抑制法)」による補助金収入が見込まれているが、2022年度第4四半期に計上することを前提に現時点の業績見通しなどには織り込んでいない。
ブルーヨンダーの一時的業績悪化については「米国での景気減速懸念による投資判断見送り、欧州顧客向けの売り上げを米国で計上する際のドル高の影響など外部環境の悪化があった。また新CEOの下で組織体制の確立やSaaSシフトを加速させるための投資を積極的に行っており、そのためのコストが利益を押し下げている。ただし、これらの投資コストは一時的なものであり、今後も力強い成長が期待できる」(梅田氏)と述べている。
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