消費財と生産財を両翼で手掛ける専門商社の山善が、国内最大の物流拠点である「ロジス関東」に仕分けAGV「t-Sort」を導入した。人海戦術で行っていた商品仕分けをスマート化することで作業者を12人から5人に削減し、作業効率も約3倍に向上。導入期間も2日と極めて短かったことも特筆に値する。
山善は、住宅設備機器や「YAMAZEN」ブランドの家電などを「消費財」として一般消費者向けに展開する一方で、1947年の創業当時から手掛ける機械工具から発展した工作機械や産業機器などの「生産財」でも知られている専門商社だ。約5000億円の売上高のうち65%は生産財関連の事業が占めている。
同社は持続的な成長に向けて、2022〜2024年度の3年間で400億円の成長投資枠を設定しており、その対象領域は「設備投資(物流設備等)」「事業投資(M&Aや新規事業)」「DX・システム投資」の3分野となっている。これらのうち物流関連では、生産財関連事業の一環としてマテハン機器などの物流関連施設で活用される機器についてソリューション提案を進めている一方で、専門商社として扱うさまざまな製品を顧客に送り届ける自社の物流拠点のスマート化も進めているのだ。
2021年11月には、国内最大の物流拠点であるロジス関東(群馬県伊勢崎市)において、プラスオートメーションの仕分けAGV「t-Sort」を導入。仕分け業務の自動化/効率化を図るとともに、労働環境の改善や作業効率/作業精度の向上につなげているところだ。
ロジス関東は消費財関連事業のうち生活用品の物流拠点で、約1万8000SKUに上る取り扱い商品を量販店に供給している。今回、t-Sortの導入によりスマート化を図ったのは、いわゆる雑貨に当たる約800SKUの仕分け作業である。山善 家庭機器事業部 営業推進部 物流企画室の亀山啓太氏は「これまで人海戦術で行っていた仕分け作業の効率化と自動化のために導入を決めた」と語る。
t-Sortによる自動仕分けラインはかなりシンプルな構成だ。24台のt-Sortと、これらのt-Sortを目的の位置に自走させるためのRFIDタグを埋め込んだゴムシート、運んできた商品をt-Sortが投入する受け口となるシュートから成る。縦長の長方形になる自動仕分けラインの両端が、仕分けする商品をt-Sortに載せる投入箇所となっており、長方形の長辺に当たる両側にシュートが並び、シュートの横には仕分けられた商品の送り先となる店舗の荷札が貼られた段ボール箱が置かれている。
自動仕分けラインに商品を投入する作業者は、商品のJANコードをバーコードリーダーで読み取ってからt-Sortの可動式のトレーに載せる。t-Sortは、バーコードの読み取り内容から送り先の段ボール箱に対応するシュートに自走し、可動式のトレーを動かして商品をシュートに投入する。商品の受け口となるシュートは、ハンモックのように緩衝材の役割を果たす構造になっており、取り扱いに注意が必要な雑貨を破損することなく仕分けることができる。シュートへの商品の仕分けが完了したら、作業者がそれらをまとめて段ボール箱に梱包して各量販店に発送することになる。
今回導入したt-Sortは、最大積載量15kgの「t-Sort cb15」だ。自動仕分けの対象となる、縦3×横3cm/重さ1g〜縦45×横30cm/重さ15kgにわたるこれら800SKUの商品を問題なく搬送することが可能だ。
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