ソニーとオリンパス、ソニー・オリンパスメディカルソリューションズの3社は外科手術用内視鏡システムの新製品「VISERA ELITE III」を共同開発した。4K映像、3D立体視、IR観察、NBIなどの機能を1台に集約するとともに大幅な機能向上も果たすなど3社協業開発製品としてさらなる進化を果たしている。
ソニーとオリンパス、両社の医療事業合弁会社であるソニー・オリンパスメディカルソリューションズ(SOMED)の3社は2022年9月14日、外科手術用内視鏡システムの新製品「VISERA ELITE III(ビセラ・エリート・スリー)」を共同開発したと発表した。内視鏡外科手術の対象となる患部を高精細に確認できる4K映像に加えて、3D立体視や、がんなどの病変部や血管の位置を蛍光薬剤と近赤外光で分かりやすく把握できるIR観察、NBI(狭帯域光観察)などの機能を1台に集約するとともに、フォーカス自動調整や焦点深度の拡大、さまざまな診療科での利用を想定したオープンプラットフォーム化など、ユーザーである医師の利便性を大きく高めており3社協業開発製品としてさらなる進化を果たしている。同年9月以降、オリンパスの販路で、欧州を皮切りに、中東、アフリカ、アジア一部地域、オセアニアおよび日本で順次発売する予定。現時点で北米市場は規制対応が完了していないが、対応が完了次第速やかに発売する方針である。
ソニーとオリンパスの医療事業合弁会社として2013年4月にSOMEDが発足して以降、3社協業で開発した製品は、2015年発売の4K技術搭載の外科手術用内視鏡システム「VISERA 4K UHD」、2017年発売の4K 3Dビデオ技術搭載の手術用顕微鏡システム「ORBEYE」がある。今回のVISERA ELITE IIIは3例目となる。
VISERA ELITE IIIの最大の特徴は、3社協業開発の1例目となるVISERA 4K UHDと、オリンパスの外科手術用内視鏡システムの現行機種である「VISERA ELITE II」の機能を1つのプラットフォームに統合したことだ。これにより、VISERA 4K UHDで可能だった4K映像による観察とNBI、VISERA ELITE IIの3D立体視、IR観察、NBIの機能を1台のシステムで完遂できるため、院内のオペレーションがシンプルになり、手技の効率化や医療従事者の負担低減につなげられる。
また、外科内視鏡を用いる一般外科、泌尿器科、婦人科、耳鼻咽喉科などの幅広い診療科に求められる機能に対応するため、さまざまなオプション機能を追加できるオープンプラットフォーム化を図った。USBメモリタイプの専用ドングルを用いたソフトウェアアップグレードにより、医療従事者が必要とする機能をプラットフォームに組み込めるので機器の導入費用の最適化が可能になっている。例えば、VISERA ELITE IIIの標準機能としては4K映像とNBIに対応しているが、3D立体視とIR観察の機能が必要な場合には専用ドングルで機能を追加できるようになっている。
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