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» 2022年06月16日 08時00分 公開

業務効率化の道具箱(1)ソフト開発だけじゃないPCの業務効率を高める5つの道筋山浦恒央の“くみこみ”な話(154)(2/2 ページ)

[山浦恒央 東海大学 大学院 組込み技術研究科 非常勤講師(工学博士),MONOist]
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4.どうやって業務を効率化するのか

 「業務効率を高めるにはどうすればよいのか」の具体的なイメージを持てない方もいるでしょう。下記に、例題を示します。

4.1 スペックの高いハードウェアを導入する

 効率よく働くには、より良い機材を使うことが重要となります。企業によっては、1日8時間コンピュータを使う仕事にもかかわらず、旧世代のPCを使っているところも少なくありません。その場合、「電源ONから立ち上げまでに数分もかかる」「容量が大きいデータを処理すると、重くなる/フリーズする」などで、業務が効率良く進みません。

 スペックの高いPCを導入すると、業務効率を上げられます。「操作がサクサク進む」「電源ONからすぐに立ち上がる」「常識的な範囲ならば、容量が大きくても重くならない」という効果が期待できます。

4.2 使用機器を使いこなす

 F1レーサーであれば「クルマ」、美容師であれば「ハサミ」を使いこなす訓練をします。われわれも同じように、使用機器の習熟度を上げることが大事です。例えば、「ショートカットキーを使用する」「スタートアップを活用する」「Excelの関数を覚える」などの効率の良い使い方を必要があります。

 機器やツールを使いこなすと、単純作業に費やす時間が大幅に減ります。例えば、あるExcelシートから「必要な情報を抜き出す」「必要な形に整形する」という場合、Excel関数を使うのと使わないのでは、作業時間が大きく変わりますね。

4.3 ツールを導入する

 アマチュアに難しいことはプロにも難しく、自分が困っていることは、みんなも困っています。ネットを調べると、有償、無償問わず、同様の悩みを解決する便利なツールが存在します。これらを導入すると、業務効率が上がります。

 無償ツールの代表例が、「テキストエディター」「Diffツール」です。ネットから「○○ ツール」と検索すると、関連するツールが出てくるので、使えるものは積極的に使いましょう。

4.4 自分でツールを作る

 他人が作るツールの場合、「痒い所に手が届かない」「自社のやり方に合っていない」「コストがかかる」などの課題が出ます。その場合、自分専用のプログラムを記述したツールを作成しましょう。

 ツール作成の代表がExcelマクロの自作です。例えば、複数の帳票を1件ずつ手作業でExcelに転記していたとすると、「時間がかかる」「ミスして一件飛ばしてしまう」などの問題が発生します。マクロを自作し、「一括で転記する」ツールを作ると、業務効率の向上につながりますね。

 このように、自作ツールを作ると、「今困っていること」を解決できます。自分の業務で手がいっぱいでしょうが、「どうすると早く終わるか」を併せて考えましょう。

4.5 働き方を工夫する

 ツールを導入することも大事ですが、そもそもの働き方を見直すことも効果があります。下記に例を示します。

4.5.1 これって無駄作業?

 自分がやっている作業が、無駄作業の場合があります。例えば、「顧客への説明資料を作ったが、上司から不要と言われた」「上司への説明資料を3日かけて作ったが、ほとんど見てもらえなかった」「指示がころころ変わり、結局、進まなかった」などがあります。

 無駄な作業をすると、効率的に仕事をしても意味がありません。意味と意義のある業務を進めたいですね。

4.5.2 再利用を考える

 例えば、転職用の履歴書を作成する場合、個人情報や職務経歴を全て作るのは手間です。その場合、「ネット上にフォーマットがないか」を考えますね。

 過去の設計資産を再利用すると、業務効率が劇的に変わります。ソフトウェア開発ならば、「前のバージョンの説明資料」「同機種のプログラム」を再利用すると、より早く業務が終わります。プロは、時間的な効率を最重視します。権利関係をクリアできれば、既に存在する物を再利用するのが最も効率的で、エラーもありません(ただし、試験におけるカンニングはダメ)。再利用により、よく似た物を早く、低コストで、同程度の品質以上で作成できます。「品質の再利用」の視点でも、再利用を考えていただければと思います。

 自分で新規に作るのもよいですが(特に、コーディングは楽しいですね)、効率を上げるには、過去の設計資産を見直すことも大事です(ただし、過去の作成者の意図を推察する必要がありますが)。

5.終わりに

 1秒でも早く業務を遂行するには、業務効率化を進めることが大事です。今回は、以下の業務効率を高める5つの例を示しました。

  • スペックの高いハードウェアを導入する
  • 使用機器を使いこなす
  • ツールを導入する
  • 自分でツールを作る
  • 働き方を工夫する

 上記のポイントの詳細を今後のシリーズで解説していきます。

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【 筆者紹介 】
山浦 恒央(やまうら つねお)

東海大学 大学院 組込み技術研究科 非常勤講師(工学博士)


1977年、日立ソフトウェアエンジニアリングに入社、2006年より、東海大学情報理工学部ソフトウェア開発工学科助教授、2007年より、同大学大学院組込み技術研究科准教授、2016年より非常勤講師。

主な著書・訳書は、「Advances in Computers」 (Academic Press社、共著)、「ピープルウエア 第2版」「ソフトウェアテスト技法」「実践的プログラムテスト入門」「デスマーチ 第2版」「ソフトウエア開発プロフェッショナル」(以上、日経BP社、共訳)、「ソフトウエア開発 55の真実と10のウソ」「初めて学ぶソフトウエアメトリクス」(以上、日経BP社、翻訳)。


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