Armは2021年9月16日、オンラインで説明会を開き、クラウドベースでの車載ソフトウェアの開発を推進するオープンなアーキテクチャ「Scalable Open Architecture for Embedded Edge(SOAFEE、ソフィー)」を発表した。
Armは2021年9月16日、オンラインで説明会を開き、クラウドベースでの車載ソフトウェアの開発を推進するオープンなアーキテクチャ「Scalable Open Architecture for Embedded Edge(SOAFEE、ソフィー)」を発表した。
SOAFEEは、従来の開発プロセスであるプロトタイプの試作、ソフトウェア作成、ECU開発、車両への適合という流れにおいて、ソフトウェアの再利用を促進し、開発により多くのエンジニアが参加できるオープンな環境とすることで、リリース後のメンテナンスも容易にする。これにより、ソフトウェアを市場に投入するまでの時期を前倒しする。SOAFEEのプログラムは大規模なプラットフォームだが、モジュール化されているため車両の大規模なフルモデルチェンジ以外でも取り入れられるという。
SOAFEEに関して、発起人のArmの他、トヨタ自動車傘下のウーブンプラネット、フォルクスワーゲングループのソフトウェア開発会社CARIAD、大手サプライヤーのコンチネンタル、AWS、レッドハット、ティアフォー、Autowareファンデーションなどが参加を表明している。参加企業は現在も募集中だ。
車載ソフトウェアは複雑化が進んでいる。今後は、コネクテッドカーなど向けにさらに複雑で高度な機能を開発するだけでなく、更新し続けることが必要になる。機能や性能の進化がソフトウェアによってけん引される「ソフトウェア定義型(software-defined)」な自動車を実現していくには、組み込み機器ならではの要求であるリアルタイム性や機能安全、セキュリティを満たしながら、効率的に実装することが欠かせない。
ソフトウェア定義型に移行することによって、自動車には幾つかのメリットが生まれる。製品開発においては、ソフトウェアが流通することで、BOM(部品表)の最適化や車載ソフトウェアを使ったサービスの収益化が図りやすくなる。これをエコシステムで支えることによりソフトウェア定義型が前提の設計が容易になり、競合他社との差別化のための設計に集中することができる。
ソフトウェア開発に関しては、ソフトウェアの移植性を高めることで、特定のソフトウェア開発を受託するビジネスモデルではなく、より幅広いプラットフォームに向けた開発が可能になり、ビジネスチャンスが広がる。自動車のエンドユーザーにとっては、新しい機能やユーザー体験が継続して提供される。
ソフトウェア定義型の製品開発はクラウドベースの開発環境と相性がよく、車載ソフトウェアのコード数増大への解決策としては有効だが、組み込み機器は特殊なハードウェアが多用されているため、導入は容易ではない。車載向けでソフトウェア定義型を実現するには4つの条件が必要だという。
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