MONOist Webの取り組みを本格化した直接的なきっかけは何でしょうか?
大坪氏 由紀精密の代表に就任した当初、営業専門の社員が社内に一人もおらず、顧客接点の創出を独力でしなければならなかった。業務負担が大きく、自分のキャパシティーでは限界があったので、Webを使って顧客接点を効果的に増やそうとした。
その当時は「まずWebで広く発信して、問い合わせを受ける。見込み客の中から手応えを感じた企業とのクロージングを図る」といったことを目指していた。これが功を奏して、新規顧客数を年間数十社というスピードで増やすことができた。
繰り返しになるが、当社の新規顧客はWeb経由で獲得するケースがほとんどだ。Webサイトの問い合わせフォームにはファイルを添付できるので、図面を送ることもできる。超小型人工衛星開発を手掛けるスタートアップのアクセルスペースも、最初はWebサイトから図面を送付してきて、そこから取引が始まった。当社をどのように見つけたかは聞いていないが、航空宇宙関連の案件に携わりたいという思いから、実績がほとんどない段階から航空分野の展示会に参加したほか、そうした分野にも取り組める企業であることをWebサイト上で訴求したのが功を奏したのだと思う。
ちなみに、航空機部品の案件もWebサイトからの問い合わせがきっかけで受注した。この他にも、超伝導に関する研究開発を手掛けていたグループ企業では国立の研究機関からWeb経由で問い合わせが送られてきた。
MONOist 当時、中小製造業においてWeb活用はどの程度進んでいたのでしょうか。
大坪氏 やっている企業はやっている、という段階だったと思う。例えばソリューションサイトなど、メインのサイトとは別にそうしたサブサイトを立ち上げる動きはあった。
こうした業界の動きの中で、当社もサイトをただ作るだけではなく、より高い効果を上げるための工夫をし続けた。Google検索の順位で切削加工.netが首位にあった時代は、Google Analysisで流入元のサイトを確認して「どのような悩み事を抱えた顧客が流入しやすいのか」などを分析、その結果をコンテンツ内容に反映させるなどしていた。サイトのリニューアルも2、3回は行った。Webの運用方針策定などは私自身が担当して、SEO対策やサイトのコーディングは外部企業に相談、委託した。
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