国立情報学研究所は、自動運転などのセンサーに計測誤差があっても、安全に制御システムが動作するようにソフトウェアを自動変換する手法を開発した。制御ソフトウェアが耐えられる誤差の限界も数式として出力する。
国立情報学研究所は2021年5月26日、自動運転などのセンサーに計測誤差があっても、安全に制御システムが動作するようにソフトウェアを自動変換する手法を開発したと発表した。外部環境とやりとりするさまざまな制御システムに適用可能で、多様な利用環境や計測手段に対応するシステムの安全性向上に貢献する。
ドローンや自動運転などの制御システムは、センサーの計測値を元にした適切な動作を必要とする。しかし、センサーの計測値は動作環境によっても誤差が発生するため、全てを考慮しつつ、安全性を数学的に保証したシステムを構築するのには困難を伴う。
そこで同研究所は、設計手法を簡素化するために、計測誤差がないことを前提とした制御ソフトウェアを、計測誤差を考慮して安全に動作するよう自動変換する手法を開発した。
同手法は、対象とするソフトウェアを「計測誤差の注入」「頑健化」の2段階に分けて変換する。第1段階では「誤差を認識するが安全性を担保できない」中間モデルに変換し、第2段階では「計測誤差があっても安全性を担保できる」モデルとして出力する。これにより、計測値から得られた真値の全ての可能性を考慮し、真値がどのような値でも安全な動作を算出する。
ただし、計測誤差があまりにも大きく、理論上安全な動作が取れない場合もあるため、制御ソフトウェアが耐えられる誤差の限界も数式として出力する。結果として、制御システムに搭載するセンサーの選定や、制御ソフトウェアを他のコンポーネントと組み合わせた場合の誤差に関する分析が可能になるため、柔軟な制御システムの設計に対応する。
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